「影の宇宙は存在するのか?」番組まとめでダークマターの存在に迫る

NHKで放送されている「モーガン・フリーマン 時空を超えて」

テーマは「影の宇宙は存在するのか?」

何かが影に隠れている。

見ることも触ることもできない物質が私たちの周りにある。

科学者は、それが宇宙の形成に大きな役割を果たしたと考えている。

しかし正体については ほとんどわかっていない。

その謎めいた物質が星々を作ってきたのか。

ある日、別の宇宙が衝突するというような事態は起きないのか。

影の宇宙は存在するのだろうか。

[番組内容(目次)]

[序章]

[モーガン・フリーマンの話し]

[ダークマターを捕まえろ!]

[ダークマターを作り出せるか?]

[正体は未知のニュートリノ?]

[ダークマターは相互作用する?]

[謎を解く鍵は鏡の世界に?]

[DNAでダークマター検出!?]

[宇宙の構造に謎の歪み?]

[モーガン・フリーマンからのメッセージ]

[独り言]

[解説]

(番組放送順と多少前後有り)

[序章]

今、私たちが住んでいるのは光に満ちた宇宙。

少なくとも空を見上げると そう思える。

しかし、この宇宙には目には見えない物質が大量に存在していると科学者たちは考えている。

暗黒の物質「ダークマター」

重力によって存在が確認できる。

隠れた世界で何が起きているのだろうか。

その内側に私たちの知らない星々や生命が存在するのだろうか。

そして影の宇宙が我々が住む光の宇宙を脅かすことはないのだろうか。

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[モーガン・フリーマンの話し]

夏の夜私は友達とよく線香花火で遊んだものです。

闇の中で輝く花火は とても明るく その光だけを見つめていると暗闇の中に友達がいて花火を操っていることを忘れてしまうほどでした。

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[ダークマターを捕まえろ!]

宇宙に輝く星々も広大な暗黒に包まれている。

その暗黒には大きな力があり 星々や銀河の動きに影響を与えていることがわかってきた。

その謎を解明することは現代物理学の最も重要な課題になりつつある。


米・パデュー大学 実験物理学者 ラファエル・ラングの話し。

彼はダークマターの謎を研究している。

ダークマターが存在することはわかっているが、何でできているか分かっていない。

ダークマターは重力によって存在が分かっているだけで、私たちが知る通常の物質とは相互作用しない。

その正体を突き止めるのは魚を素手で捕まえるようなもの。

魚を素手で捕まえようとしても動きが素早く ぬるぬるしているため上手くいかない。

何か捕まえるための道具が必要。

必要なのはダークマターと相互作用するものを見つけること。

ひとつ分かっているのはダークマターには質量があるということ。

私たちが知っている物質はヒッグス粒子と相互作用して質量を持つ。

ヒッグス粒子は宇宙を満たす力の場、ヒッグス場を作っている。

物質は、そのヒックス場と相互作用することで質量を獲得すると考えられている。

ならばダークマターもヒッグス粒子との相互作用によって質量を得ていると考えるのが自然。

だとすればヒッグス粒子が大きな鍵になるはず。


ラングの考え方が正しければ、暗黒物質を捕まえるための道具としてヒッグス粒子を使えるかもしれない。

そうなれば魚を素手で捕まえるような真似をしなくても済む。

ヒッグス粒子が釣竿代わりになってくれるかもしれない。

ヒッグス粒子という道具を媒介してダークマターに働きかけることができる。

しかし、どんなに良い釣竿があっても魚を釣れるという保証はない。

ラングはイタリアにあるキセノン100という実験施設にも関わっている。

高純度で不活性な液体であるキセノンが100kg入ったタンクを利用する。


液体キセノンは原子核が密に詰まっているためダークマターと接触する確率が高い。

ではダークマターをキセノンの中に落としたら何が起きるか?

大部分はキセノンをすり抜けるために何も起こらない。

でも運良くキセノンの原子核にぶつかれば跳ね飛ばすかもしれない。

ダークマターとぶつかったキセノンの原子核は光の軌跡を残してタンクの外に飛び出す。

暗黒物質自体は観察できないが、跳ね飛ばされたキセノンは観察できる。

この実験は2008年から続いているが、まだ暗黒物質の痕跡は見つかっていない。

しかしさらに改良された大きな検出器キセノン1ton(ワントン)ならば発見の確率が高くなるとラングは考えている。

それによって一年でダークマターが見つかるかもしれないし、数日で見つかるかもしれない。

ラングの言うとおりなら暗黒物質発見のニュースをまもなく聴けるかもしれない。

しかし別の考え方もある。

ダークマターを捕まえるのではなく作り出す。

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[ダークマターを作り出せるか?]

スイス・素粒子物理学研究所 CERN(欧州原子核研究機構) 実験物理学者 ジョナサン・バターワースの話し。

この世界最大の衝突型加速器LHCによって2012年にヒックス粒子が作り出された。

また、標準模型と呼ばれる理論を構成する全ての粒子も作り出してきた。

標準模型は宇宙のあらゆるものを構成する粒子について最もうまく説明できる理論。

ただし、あらゆるものといっても例外がある。

おそらくダークマターには当てはまらない。

それでも物理学者たちはダークマターについてあるアイデアを持っている。

鍵となる要素は粒子の回転でスピン=角運動量。


遊園地などにある観覧車は角運動量について語るのにいい場所。

角運動量とは「回転するものの速度」と「回転軸までの距離」をかけたもの。

素粒子も角運動量を持ちスピンと呼ばれる。

粒子には二つのタイプがある。

「物質粒子」は宇宙に形あるもの全て。

そして「力の粒子」はエネルギーだけを運ぶ。

この二つはスピンのペースが違う。

「力の粒子」ならスピンのペースは「1」

「物質粒子」ならスピンのペースが「1/2」になる。

しかしどちらの粒子にも実はスピンが違う隠れた粒子が存在するという科学者がいる。

ここで、力の粒子は全てスピンが「1」で物質粒子は全て「1/2」だとすれば次のような疑問が湧く。

もしスピンを交換したら?

力の粒子はスピンが1だがそれを1/2にしたら物質粒子に変わるはず。


スピンのペースが違う力の粒子のパートナーそれがダークマターの正体ではないかと考えられている。

ビッグバンでスピンが違うパートナーがたくさん生み出され、今も宇宙の中を漂っている、それがダークマターだと彼は考えている。

CERNの衝突型加速器なら極めて小さな規模のビッグバンを引き起こすことができる。

そこでバターワースが考えるようなスピンのペースが違う粒子も作れるはずだが、今のところ何も見つかっていない。

直接的な証拠が見つかっていない以上、可能性が減ったことは否定できない。

やはりダークマターを捕まえることは不可能なのだろうか?

そうは考えず、ある特別な粒子に注目している科学者がいる。

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[正体は未知のニュートリノ?]

米・ノースウェスタン大学 ブラジル出身の理論物理学者 アンドレ・ドゥ・ゴヴェイアの話し。

幽霊を信じる人は、私たちの感覚を超えた壮大なる霊的な世界が存在するはずだと考えている。

物理学の世界でも幽霊によく似た存在がいる。

固体も難なく通り抜けて動き回る幽霊のような粒子「ニュートリノ」

ニュートリノは壮大な影の宇宙が実在することを示す証拠となり得るのだろうか?

ニュートリノは変わった性質をもつ粒子。

長い間ニュートリノには質量がないと考えられていた。

ニュートリノは他の粒子と違い、電気的な性質が全くない。

その上、長い間質量はないと考えられていた。

ニュートリノは光とほぼ同じ速さで動くため質量が必要もないはずだと考えられてきた。

相対性理論によれば物体が光と同じ速さで動けばその物体にとって時間が止まるため粒子は一切変化しない。

しかしニュートリノは変化することが分かった。

物理学者はその違いを「フレーバー」と呼んでいる。


全ての物質粒子は様々な変化をする。

ほぼ同一のもので小さな変化がある場合それをフレーバーと呼ぶ。

仮定の話として、自転車でアンドレが街を走り回るとする。

アントレの着ている T シャツの色は赤。

彼がニュートリノだとすれば彼のシャツの色は青や黄色など時々変化する。

色が変わるということは時間が進んでいるはず(※1)

時間が進む以上ニュートリノは光と同じ速度では動いていない。

従って質量も存在する。

では、ニュートリノはダークマターの正体なのだろうか。

※1:ニュートリノ振動

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ニュートリノは、物質とほとんど相互作用しない点ではダークマターと似た性質。

しかし、ニュートリノの質量は極めて小さい。

従ってダークマターの全てだとは考えられない(※2)

宇宙にどのぐらいのダークマターが存在するのかは計算によって明らかになっている。

ニュートリノの質量は、それに比べればごくわずかにしか過ぎない。

※2:宇宙を構成する割合は光りとして観測できるものが約5%・ダークエネルギーが約70%・ダークマターは約25%

ダークマターの総量は観測できるものの5倍の重力を持つ。


しかしニュートリノのスピンには何か奇妙な点がある。

アンドレはニュートリノに隠れたダンスパートナーがいて、そのパートナーこそがダークマターではないかと推測している。

全ての粒子がスピンという固有の特性を持ち、私たちの知る物質粒子には二つのタイプのスピンがある。

利き手に例えるなら一部の粒子は左利きで、他の粒子は右利き。

ここでダンサーに例えて説明してみる。

ビッグバンが起きた直後の宇宙には、右利きの粒子と左利きの粒子が同じ数だけ存在したと考えられる。

それらの粒子は別々に動き質量もなかった。

しかし、すぐにヒックス粒子が行動を起こす。

左利きの粒子と右利きの粒子を組み合わせが、粒子に質量を与えた。

ヒッグス粒子がやってきて二つの粒子が関わり合えるようにダンスのペアにした。

ペアになった二つの粒子は、質量を持った一つの粒子のように行動した。

電子やクオークのような粒子はこうして質量を持った。

しかしニュートリノは様子が違う。

ニュートリノは全て左利きのダンサーだけ。

サンバを一人で踊っているようなもの。

それなのになぜ質量があるのだろうか?


今、左利きのニュートリノが踊っていると仮定する。

右利きのニュートリノは全く見つからない。

ニュートリノには質量があるということはパートナーが必ずどこかにいるはず。

検出器では見つけることができないどこかに、右利きのパートナーがいて それによってニュートリノは質量を得ている。

では、右利きのニュートリノこそダークマターの正体なのだろうか?

今のところ架空の粒子だが、右利きのニュートリノがダークマターだという可能性はある。

通常のニュートリノ以上に他の粒子とほとんど相互作用をしない上 見つけることができないでいる。

しかし、宇宙の初期に作り出され今もあらゆるところに存在しているはず。

現在のような方法では右利きのニュートリノを見つけることは不可能。

しかし別の方法があるかもしれない。

それは空を見上げる方法。


右利きのニュートリノは完全には安定していないため放射性元素のように時として崩壊する。

その時放出するはずのX線を検出すればよい。

銀河がX線を放出しているかを観察することで、右利きのニュートリノを発見できるかもしれない。

実際はるか遠くの銀河でX線の異変らしきものが検出されている。

そこにダークマターの正体を解明する手がかりが潜んでいるかもしれない。

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[ダークマターは相互作用する?]

影の宇宙の証拠を見つけたと考える科学者がいる。

そこでは幽霊のような物質が私たちの周りに密着し、体内にも 入り込んでいると言う。


米・ローレンスリバモア国立研究所 海洋構造物の技術者から宇宙物理学者に転向したウイリアム・ドーソンの話し。

宇宙で二つのダークマターの塊が近づいているとしたら、そして衝突したら何が起きるか?

ほとんど何も起きないという説が有力。

ダークマターはごくわずかな重力を感じる程度。

しかし、これはダークマターを単純化しすぎているかもしれない。

影の宇宙はもっと複雑なものだと考える科学者がいる。

ドーソンはダークマターを見つけるために重力レンズを使う数少ない科学者の一人。

ダークマターが光を発しない以上、頼れるのは重力レンズを利用した観測技術。

通常平らな時空では光は常にまっすぐ進む。

しかしそこに重力が加わると時空に歪みが生じる。

すると光は時空の歪みのカーブに沿って進むことになる。

重力レンズは、ダークマターの巨大な雲の位置を突き止める有力な手段となった。

特に大きな目印となるのは より遠い銀河の光がダークマターの雲を回り込むようにして通ってくる「二重像」と呼ばれる現象。

ドーソンはダークマターの観察に格好の天体を見つけた。


「弾丸銀河団」は二つの「銀河団」が衝突したもので地球から見て数十億光年のかなたにある。

数多くの銀河が集まって構成された銀河団。

その二つが衝突した時に起きた現象は銀河同士のすり抜け。

星々が互いに数百万光年の距離があったから。

しかし、銀河を取り巻く水素とヘリウムのガスはぶつかり合って激しく反応する。

そして小さな銀河団が大きな銀河団を貫くような形になった。

一方、多くの銀河や銀河団を包んでいるはずのダークマターには何の変化もない。

ダークマターどうしも互いにすり抜けてしまう。

電磁気力には全く反応せず重力をごくわずかに感じただけ。


ここでドーソンは疑問を感じた。

宇宙の大部分を占めるはずのダークマターは何故これほどまでに周囲と無関係なままなのか?

ダークマターが重力を通じて僅かに相互作用することはわかっている。

ドーソンは、それ以上の作用があるのかどうかを突き止めようとしている。

ドーソンたちは弾丸銀河団の観測結果を見てダークマターが単純化されすぎているのではないかと考えている。


ドーソンと共同研究者たちは銀河団の衝突をいくつも確認した。

暗黒物質どうしが相互作用するケースがないか知るため。

知りたいのは銀河と それを取り巻くダークマターに それぞれズレがあるかどうか。

ズレがあればダークマターが相互作用したという証拠になる。

彼らが注目した銀河団は弾丸銀河団よりも古い銀河団で、古い銃の名にちなんで「マスケットボール銀河団」と呼んだ。


マスケットボール銀河団は衝突からかなり時間がたっている。

弾丸銀河団は二つの銀河団が衝突した直後だが こちらはかなりすり抜けが進んで

いる。

イタリア料理にミートボール・ソース・パスタがあるように銀河団には銀河・(星間)ガス・ダークマターがある。

二つの銀河団の衝突を料理に例えるなら次のような状況。

・ミートボールは銀河

・ソースはガス

・パスタがダークマター

そして銀河団の衝突は食べ物の投げ合いのようなもの。

銀河と銀河の間にはかなり隙間があるのでミートボールを投げ合っても互いにすれ違う。

しかし、ガスはトマトソースのようなもので互いに通り抜けようとしても たまにぶつかり合う。

そして、ダークマターはパスタのようなもので ほとんどはすれ違うが、ごく一部がぶつかる。

ぶつかりあったダークマターは動きが遅くなるはず。


ドーソンのチームはマスケットボール銀河団を観測した結果、ダークマターが通常の物質と分離したように見える現象を発見した。

ダークマター同士がぶつかって進む速度が遅くなったため、通常の物質との間にズレが生じたのかもしれない。

ドーソンたちはマスケットボール銀河団で通常の物質とダークマターがずれたと考えられる現象観測した。

そのような実例を他でも見つけられればダークマター同士は相互作用するという証拠になる。


米・カリフォルニア大学 宇宙物理学者 宇宙物理学者 ジェームズ・ボロックはドーソンと協力してダークマターの研究をしている。

彼はダークマターの相互作用によって銀河団の衝突が相互作用するかシュミレーションしている。

ダークマターの「相互作用を完全になくした場合」と「相互作用を強めに設定した場合」など様々な条件でシュミレーションしている。

そして、どれが実際の宇宙の観測と近いか調べる。

ポロックの研究によればやはり「ダークマター同士が相互作用していると考えないと現在の宇宙の状況と矛盾する」と分かった。


ダークマター同士が相互作用するならダークマターは固体にもなれるのではないだろうか?

私たちが知る星々や惑星の別バージョン。

そのようなものが実際に存在し私達の惑星と衝突することがあったとしたら。


鏡の中に自分の姿が見えるのをイメージしてみる。

しかし、全く同じではなく鼻の位置や目がどこかアンバランス。

ビッグバンによってそんな鏡のような世界が作り出されたと考える物理学者もいる。

ただし、ほとんど認識はできない。

その鏡の世界がダークマターなのかも。

では二つの世界が接触したら何が起きるのだろうか?

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[謎を解く鍵は鏡の世界に?]

オーストラリア・メルボルン大学 理論素粒子物理学者 ロバート・フットの話し。

彼は、ダークマターは既に私たちの世界に存在し、地球の大気に突入したことがあると考えている。

ダークマターの巨大な塊が地球の内部に隠れているかもしれないという。

フットの理論では「宇宙は常に対照をなすもの」という事。

それはローンズボールという手球を転がしてターゲットの球に当てるボーリングに似たゲームで簡単に説明できる。

通常は、右手で転がしても左手でも効果は同じ。

どちらの手でボールを投げても物理的には同じ効果をもたらす。

左利きの粒子と右利きの粒子が重力など自然界の基本的な力と相互作用するときもほぼ同じ。

どちらの粒子も電磁気力に対し同じ反応を示す。

原子核を結びつけている強い力の場合も同じ。

右利き左利きに関わらず どちらの粒子にも同じように力が働く。

しかし、基本的な力でひとつだけ例外がある。

放射性崩壊を起こす「弱い力」

弱い力と その相互作用では左利きでボールを転がすと当たるが、右手でボールを投げるとすり抜けてしまう。

ルールから外れたこの現象こそがダークマターの謎を解き明かすヒントになるとフットは考えている。


大切なのは鏡の中をよく見ること。

鏡に映る私は ほぼ対象だが完全とは言えない。

問題は腕時計。

実際は左手につけているのに向こうでは右手になっている。

フットは宇宙の原則を無視した自分の非対称性に我慢がならない。

しかし、それを解消する手段を見つけた。

それは、自分の別バージョンを導入すること。

フットに双子の弟がいて、彼の時計は右手につけられていると考えてみる。

フットは素粒子も同じことではないかと考えている。

宇宙の対称性を保つためには「弱い力」の別バージョンがあるはずだということ。

そのような別バージョンは「ミラーマター」と呼ばれ鏡に映った像のように振る舞う。


あらゆる粒子に双子がいる。

通常の粒子が左利きならミラーマターは右利きで、対照的に振る舞う。

ただし、ミラーマターの粒子が実在するとしても私たちには全く見えない。

それがダークマターの正体ではないかとフットは考えている。

それだけではない。

宇宙にある全てのものは私たちの目に見えない領域に鏡に映った像のような別バージョンが存在するかもしれない。

だから星の誕生から超新星爆発に至るまで通常の物質で起こる現象の全てがミラーマターでも起こり得るということ。

ミラーマターによってできた星や銀河が、実はこの宇宙と同じスペースを占めているのかもしれない。

しかしそれらは通常の物質を通り抜けてしまい私たちには見ることができない。

では、この鏡のような世界が実在するという証拠がどこにあるのだろうか。

実は鏡の世界と私たちの世界が ごくまれに接触する場合があるとフットは考えている。

もしミラーマターが十分に集まれば小惑星を形成するかもしれない。

それが現在の太陽系にも存在し時には地球に衝突している可能性もある。

ミラーマターが重力にしか反応しないのであれば地球にぶつかっても幽霊のようにすり抜けていくことだろう。


フットによればミラーマターと通常の物質が相互作用する可能性はひとつだけある。

小惑星の「ミラー光子」と「通常の光子」の二つの粒子が摩擦を起こし、大きな熱を産めば小惑星は火の玉になるかもしれない。

そして小惑星のスピードが緩み最終的には地球の内部でたまるのではないかとフットは考えている。

小惑星は地球の内部で止まり全てのエネルギーが放出される。

クレーターは残さないかもしれないが地面を溶かすくらいの事があるかもしれない。


1932年にリビアの砂漠で探検家たちが溶けたガラスを発見した。

炎に包まれた小惑星が地球に衝突したせいで できたと見られたが奇妙なことにクレーターは見つからなかった。

これはミラーマターの小惑星が衝突してできたものなのだろうか。

クレーターが見つからなかった以上、ミラーマターが残したものだという可能性がある。

ミラーマターやミラーマター小惑星も奇妙な発想に聞こえるが宇宙は非対称のものだと認めるよりはマシだとフットは考えている。

もし、影の宇宙がこちらに迫っているならその位置を知ることが必要になるだろう。

ある物理学者は、画期的な検出法を使ってダークマターの地図を作ることに挑んでいる。

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[DNAでダークマター検出!?]

米・ミシガン大学 天体物理学者  キャサリン・フリースの話し。

かつて、海の探検家たちは いつ陸地にたどり着けるか分からないまま広大な海に乗り出して行った。

今では1cm単位の地図が作られ、自分たちの居場所は もちろんのこと ゆっくりとした地殻の動きさえ分かっている。

地図は地球の過去の物語を知ったり未来の予測にも役立つ。

では、ダークマターの地図なしに影の宇宙を理解することはできるのだろうか。


フリースは今こそダークマターの地図を作る時だと考えている。

必要になるのは暗黒物質の写真を取る装置。

それはピンホールカメラで例えると分かりやすい。

太陽から来る光が外に立っている木々の間を通り抜けていく。

光は小さなカメラに開いた小さな穴に入りスクリーンに外にある木々の画像を投影する。

このカメラを使うと光が来る方向も知ることができる。


これまでのダークマター検出器は単純なもので粒子の動きまでは分からなかった。

フリースが作ろうとしているのはダークマターがやってくる経路を地図のように描き出せる装置。

そのカメラでレンズ代わりに使われているのは「DNA」

莫大な数のDNAを幅方向と奥行き方向に吊り下げて並べる。

その手前には金の原子を並べたノレン。

ダークマターの粒子がやってきて金に当たると金の原子を弾き飛ばす。

弾き飛ばされた原子はその先にある DNA のらせん構造にぶつかり断ち切る。

物理学と生物学を応用してダークマターの動きを突き止める全く新しい検出器。


フリースたちが作ったダークマター検出器は三つのパーツから成り立っている。

標的となる「DNAのらせん構造」

銃弾に当たるのがDNAを突き抜けて進む「金の原子」

そして「ダークマター」


狙いを定めた銃が金の弾丸を発射するように飛んできたダークマター粒子は、金の原子に当り やってきた経路の延長線上の金を弾き飛ばす。

弾き飛ばされた金の原子はずらりと並んだ DNA のらせん構造を断ち切りながら進む。

断ち切られた DNA の切れ端を回収してどの様な経路を通ったか分析することができる。


それぞれのらせん構造についてDNAを構成するA・T・G・Cと言った塩基配列が分かっているだからDNAのどの部分が切れたのかを正確に突き止めることができる。

これによって金の原子が飛んできた経路がわかる。

DNA はこの種の実験に利用する物として最適。

従来の どの素材よりも高い精度で測定できる。

無数のダークマター粒子が金の原子を弾き飛ばし固有の経路を描き出す。

それを分析していくことでダークマターの地図のようなものを作ることができるかもしれない。

経路を遡れば金の原子がどのような角度で飛んできたかが分かる。

ダークマターが来た方向や振る舞いがわかる。

物理学者たちは答えに近づきつつある。

影の宇宙の形がやがて明らかになるかもしれない。

しかし、この影の宇宙自体がさらに鍵を持っているかもしれない。

私たちの宇宙も影の宇宙もさらに暗い存在にコントロールされている可能性がある。

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[宇宙の構造に謎の歪み?]

米・ミシガン大学 宇宙科学者 ドラガン・フートナーの話し。

宇宙探査によってビッグバン直後の宇宙の様子が明らかになろうとしている。

通常の物質とダークマターがすべての方向に同じように散らばっていた。

しかし、そこには奇妙な裂け目が存在していたようだ。

宇宙の一方が他方とは違うことを示唆する線。

私たちには見えない彼方に何か巨大なものがあるのかもしれない。

それは私たちの宇宙を形作り あらゆるものをコントロールする何か。


フートナーは「宇宙マイクロ波背景放射」と呼ばれるビッグバンの名残に裂け目があることを発見した人物の一人。

宇宙マイクロ波背景放射は140億年ほど前には小さく濃縮されていた。

それが膨張するにつれて温度も低くなっていく。

そして、宇宙が誕生して間もない時の放射を今でも調べる事が可能。

マイクロ波が宇宙にどのように分布しているのかを計測することはバスケットボールを統計的に分析する手法とよく似ている。

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今バスケットコートにはバスケットをする生徒がいる。

コート上でバスケットのゴールを見ることは地球から宇宙マイクロ波背景放射を見ることに似ている。

そしてシュートの成功と失敗は、初期の宇宙における温度のゆらぎに例えることができる。

宇宙マイクロ波背景放射のゆらぎに「熱い部分」と「冷たい部分」があるようにシュートにも「成功」と「失敗」がある。

成功は熱い部分で失敗は冷たい部分を表すとする。


フートナーは成功と失敗の分布図を作った。

結果を見るとコートにおけるシュートの分布は対象になる。

ある地点から成功したシュートのポイントはコートの線対照的な位置から行なったシュートも成功するといった形。

シュートの成功と失敗、その分布はどこでもほぼ同じはず。

宇宙マイクロ波背景放射も同じだと予測された。


ところがその予測は裏切られた。

データを分析してみると一つの方向だけが特別だということがわかった。

ゴールに対して特定のコートだけが傾いているようなもの。

プレイ中にコートの一角が突然傾いたとしたら。

斜めに傾いたエリアからのシュートは成功の確率が低くなる。

コート上における成功と失敗の均等な分布は崩れることになるだろう。

コートの中に失敗の点「冷えた部分」が増えていく。

コート自体がどこかおかしいと考えるしかない。

このような事態が起きたらコートが平らではないと考えるべき。

宇宙についても同じことが言える。

宇宙マイクロ波背景放射における温度の揺らぎもある方向だけ分布が均等ではなくなっている。

その方向に我々の知らない何か特別なものがあると考えていいだろう。


最も熱く大きな部分と最も冷たく大きな部分は宇宙を横切る軸に沿って並んでいる。

それは宇宙の形が歪んでいることを示唆している。

いったい何が宇宙の形を歪めているのだろうか。

原因は分かっていない。

ただの偶然かもしれないし宇宙の誕生直後に何かがあったのかもしれない。

あるいは私たちには見えない何か巨大な構造がこの宇宙に潜んでいるのかもしれない。


私たちに見える世界が見えないダークマターによって作られたように。

宇宙全体が全く未知の何かによって作られたのだろうか。

それは空間と時間の基本構造さえもコントロールする存在なのかもしれない。

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[モーガン・フリーマンからのメッセージ]

かつで私たちは夜の闇を無の象徴として見ていた。

しかし闇の世界は空っぽではありません。

そこには光の宇宙を作り上げた暗黒物質が満ちている。

そのダークマターが形作る宇宙さえも より巨大な宇宙の構造の一部分にすぎないのかもしれない。

影の宇宙は時間と空間をこえて存在しているのかも。

私たちはその謎の一端に触れたにすぎません。

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[独り言]

今回の番組では影の宇宙としてダークマターにスポットを当てて様々な科学者の唱える研究を取り上げていた。

ただ、実際にはダークマターよりもおおきな 宇宙を作り上げる存在であるダークエネルギーも無視できない存在で宇宙の約70%を占める。

存在があるとしか言いようがないのに目に見えないものが この宇宙の95%を占めているという不思議さ。

そしていずれも未だ捕えることが出来ていない。

筆者は番組の最後で取り上げたテーマ「宇宙の構造に謎の歪?」が最も答えに近いのではないかと思っている。

一般相対性理論では「物質=エネルギー=重力が時空を歪ませる」となっている。

あらかたの宇宙で起きる現象を言い表すには最も優れた理論だが、ダークマターやダークエネルギーを表現するには何かが足りない。


 現在の星の成り立ちは星間ガスが集まって巨大な重力になる事によって核融合を起こし星になるのはほぼ間違いないと言われている。

ただ、何故広大な宇宙の中で一点とも言える場所にだけガスが集まるのか。

ガスの分布に偏りが生じて特定の場所にだけ集まり始めると言っても所詮重力は弱い力。

あちこちに集まりが出来ては、互いにガスを奪い合い巨大な星を作り出すと言うには無理があるのではないだろうか。


おそらく宇宙空間=時空は元々歪んでいる。

歪みが落ち込んだところはあたかも重力が強い場所のように振る舞いガスを集める。

例えるなら平らな砂場が時空で蟻地獄が作るすり鉢が時空の歪み。

私たちはそれをダークマターと呼んでいる。

すり鉢には砂場の上にあるゴミや落ち葉と言った物(=宇宙で言うところのガス)が集まりやがて一つの塊になる。

一方で星や銀河が存在しない場所は擦り鉢が出来た反動で盛り上がる。

そこにはガスが集まらずむしろ反発しすり鉢がある場所へと物を送り込む。

これをダークエネルギーと呼んでいるのではないだろうか。

宇宙が持つ時空が勝手に歪んでいるのだから光や電波といった手段では観測できないのではないだろうか。

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