NHK「“脳”すごいぞ!ひらめきと記憶の正体」番組まとめ

2018年

NHK総合で放送される「神秘の巨大ネットワーク」

第五回のテーマは「“脳”すごいぞ!ひらめきと記憶の正体」

今回、私達人類を代表して最先端の科学で丸裸にされる脳の持ち主は、お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹さん。

又吉さんの脳を探るのは世界最高性能の MRI

見えてきたのは皆さんがよくご存知のシワが刻まれた脳。

ところがその奥から見たこともない まるでタワシのような不思議なものが現れた。

ケーブルのように張り巡らされる脳の神経細胞。

この複雑な神経細胞を分析して浮かび上がってきたのが「ひらめき」の正体。

なんと山中さんがノーベル賞につながる閃きを得た秘策も明らかになる。

明日から使える「ひらめき」の極意を皆さんにも紹介。

さらに脳のネットワークの研究により あの認知症を克服するための新しい戦略も見え始めている。

科学者をして「ついに私たちがアルツハイマー病の治療へ乗り出す時が来た」と言わしめている。

脳はやっぱり凄かった。

謎に満ちた私たちも脳のネットワーク

その美しく神秘的な世界。


MCはタモリさんと京都大学の山中伸弥教授(iPS細胞研究でノーベル医学賞受賞者)

アナウンサーに久保田祐佳さん

ゲストに女優 菅野美穂さん、芸人・作家又吉直樹さん

[番組内容(目次)]

[序章]

[又吉さんの脳を徹底解剖!]

[すごいぞひらめきと記憶の正体]

[ぼーっとすること]

[脳の驚きのメカニズム]

[どうやって記憶を作り出すのか]

[記憶力をぐんとアップさせるには]

[世界最先端の治療戦略]

[血液脳関門の突破]

[ブラジル・ポルトアレグレでの臨床試験]

[終章(脳に関するその他の研究)]

[次回]

[独り言]

[解説]

(番組放送順と多少前後有り)

[序章]

今回、脳の解析で又吉さんが他人の脳と明らかに違う部分が見つかった。

側頭の部分に通常の人の三割増しの部分がある。

これは2万人に一人と言われている事。

その部分は「縁上回(えんじょうかい)」と呼ばれている

この部分は言葉を司ってるのではないかと考えられている。

そして才能の理由のひとつではないかと思われる。

脳の中を詳しく覗くとそこにあるのは一見するとタワシやフカヒレのようにも見える神経細胞のネットワーク。

ひとつひとつは細い繊維状で神経細胞で、その数およそ1000億個。

それが繋がってネットワークを作っている。

一個の神経細胞の長さは0.2 mm 前後、それらが1000億個つながっている。

このタワシのような脳の神経細胞を調べていくと「ひらめき」の極意が見えてくる。

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[又吉さんの脳を徹底解剖!]

又吉さんはアイディアに詰まると しばしば散歩に出かける。

目に入る様々な風景が「ひらめき」のヒントを与えると言う。

それは例えば「真夜中の雰囲気」や「カレーの匂い」

何かを見た瞬間に脳の中では何が起きるのか。

最先端の技術によって驚くべき脳の活動が世界で初めて捕らえられた。

例えばタモリさんの顔を見た瞬間は稲妻のように電気信号が神経ネットワークを駆け抜ける。

顔を見てから0.1秒ほどで脳の後頭部にある視覚野へ、さらにその信号が0.2秒ほどの時間で脳全体に駆け巡り広がる。

視覚野では目から入った映像の大まかな輪郭をとらえているとされる。

この時点では まだタモリさんだとはっきり分からない。

そのあと信号がやってくるのは側頭部の顔領域。

ここに信号が来て初めて誰の顔か見分けているとされている。

さらに信号は前頭前野へ。

ここでは顔を見たときに湧き上がる感情をコントロールしていると言われている。

これだけの処理をわずか0.2秒でこなしてしまう。

まるで稲妻のような超高速の電気信号。

いったいどうやって伝わっているのか。


 ミクロの世界で見てみると、脳のネットワークで網の目のように見えるのは神経細胞。

細長い細胞から次の細胞へと電気信号が伝達されていく。

しかしよく見ると細胞と細胞の間にほんの少し隙間がある。

どうやって信号が途切れずに伝わっていくのだろうか?

電気信号がひとつの神経細胞の端にたどり着くと何やら小さな粒が大量に放出された。

これはメッセージ物質。

このメッセージは電気を発生させてメッセージ物質が次の細胞に受け取られると再び電気信号が生まれる。

細胞と細胞の間は電気信号に代わってメッセージ物質が情報を伝えていた。

受け渡しにかかる時間はわずか1万分の1秒。

電気信号からメッセージ物質へ そしてまた電気信号へ。

こうして次々とリレーしながら情報が伝えられていく。

でも何故わざわざメッセージ物質を使って伝える必要があるのか。

実は脳ではこうしたメッセージ物質を数十種類用いることで電気信号の伝わり方に様々なバリエーションを持たせている。

例えば素敵な女性が又吉さんの前に現れた時。

一斉に電気を発生させるぞと言ったメッセージ物質が放出される。

すると神経細胞が活性化。

脳の広い範囲に強い信号が伝わる。

そして、その人の印象がより強く刻まれる。

1000億の神経細胞とメッセージ物質、この複雑な仕組みが「ひらめき」を生み出す鍵になっていると思われる。

又吉さんが「ひらめく」ときの脳の仕組みが、このあと明らかになる。


 これまで、この番組では様々な臓器同士がメッセージ物質をやり取りする様子を伝えてきた。

そして私たちの命や健康を支えていること伝えてきた。

脳も他の臓器からメッセージ物質を受け取っている。

例えば脂肪細胞が出すレプチンは「エネルギーが十分だよ」

このメッセージ物質を受け取ることで脳は食欲をコントロールする。

でもさすがは脳、他の臓器からメッセージ物質を受け取るだけでなく内部に脳独自のネットワークを築いている。

それこそがあのタワシのような姿のネットワーク。

数十ものメッセージ物質が飛び交い、神経細胞同士が特別な会話を繰り広げている 。

山中メモ

このタワシのようなネットワークは非常に高性能で1000億の神経細胞と数10~100近くもあるメッセージ物質。

その組み合わせによって電気信号の伝わり方を無限の組み合わせに増やすためではないかと考えられている。

効率だけ考えれば一直線に繋がるような単純な構造の方が良さそうだが、複雑であるがゆえに揺らいでいて柔軟性がある。

他の臓器にはできないような ある意味トライアンドエラーができる。

今までは駄目だと思っていたようなことが、実際にやってみたらすごいことにつながる。

このように様々な発見や科学技術の進歩はたくさんのメッセージ物質を使う脳の柔軟性のおかげではないだろうか。

これが脳の特技である「ひらめき」で脳は究極のネットワーク臓器。

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[すごいぞひらめきと記憶の正体]

又吉さんは お笑いから文学作品まで斬新な「ひらめき」で多くの人を楽しませる。

芥川賞を受賞した「火花」にも型にはまらない言い回しや独特のストーリーが満載。

又吉さんの脳はどうやって優れた「ひらめき」を生み出しているのだろうか。

まだ多くの謎に包まれた「ひらめき」の秘密に迫るため、今回又吉さんには変わった実験に協力してもらった。

MRI検査の途中で小説のストーリーを考えてもらい、良いアイデアがひらめいた瞬間にボタンを押してもらうというもの。

10分間の実験中ひらめいたと思った瞬間は3回。

このうち二回について興味深い脳の活動の様子が捕らえられた。

又吉さんがひらめいたという時に電気信号が流れていた場所は、脳の中心部分から前後左右まで広い範囲が一斉に活動する不思議な状態が捉えられている。

この脳の状態を計算など集中している時のものと比べると、集中しているときは電気信号の流れが細切れになっているのに対し、ひらめいた時は電気信号の太い幹が生まれている。

そして全体をつなげている。

煌めく時に脳は集中するだけでは生み出せない特別な状態になっている。

では どうすれば私たちはひらめく脳の状態を作り出すことができるのか。

実は誰でも自分の脳をひらめく状態に近づけられる「とっておきの方法」があることが分かっている。

その方法とは、これから8分間目を軽く開けて、なるべく何も考えないようにしてする。

その時の脳に現れた電気信号の流れは何も考えていないはずなのに電気信号の太い幹が全体をつなげている。

ひらめいた時とそっくり。

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[ぼーっとすること]

ドレクセル大学 教授 ジョン・クーニオスさんの話し。

彼は長年ひらめきについて研究している。

何も考えずにぼーっとすることが「ひらめく」ためにとても重要という結論にたどり着いた。

例えば、貴方が何かに行き詰まったとする。

でも、その解決策が突然頭にひらめくことがあり それは全く関係ないことをしている時。

例えば朝 目覚めてぼーっとしている時などに起きる。

彼らはその状態を「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼んでいる。

何もしていない状態という意味。

それが意外にも「ひらめき」を生み出す。

よく見てみると電気信号が伸びる先には脳の表面にある大脳皮質がある。

ここには私たちの記憶の断片が保管されている。

私たちの脳はぼーっとしているときにこそ記憶の断片を自由自在につなぎ合わせ、新しい発想を生み出していると考えられている。

それこそが斬新な 「ひらめき」を生み出す秘訣かもしれないと注目されている。

山中メモ

このぼーっとすることと「ひらめき」との繋がりは脳科学に関するパラダイムシフト。

散歩しながらぼーっとしている時は脳は活動やめているとさえ考えられていた。

実は脳活動全体の七割ほどのエネルギーをデフォルト・モード・ネットワークで消費しているとも言われている。

タモリメモ

逍遥学(しょうようがく)派:古代ギリシャ時代、散歩をしながら思索を深めた哲学者のグループのこと。

散歩するのは考えごとに良いという一つの例ではないか。

又吉メモ

先輩や後輩にどんなときにネタを思いつきますかと調査をしたことがある。

すると散歩とお風呂が圧倒的に多かった。

山中メモ

20年くらい前にすごい謎に挑戦していてどうしたらそれを解けるかなといろんな論文を読んで一生懸命考えるけども全然アイデアが浮かんでこない。

ところが家に帰って子供を風呂に入れて その後自分がシャワーを浴びていてぼーっとしていたら突然ハット思いついたことがある。

それから十数年経ってiPS 細胞につながった。

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[脳の驚きのメカニズム]

ぼーっとした状態で記憶を結びつける。

ということは「ひらめく」ためには記憶の断片をしっかり蓄えておくことが必要。

そこで次は記憶力を高める極意。

凄まじい記憶力を持つ人物がイギリスにいるケネス・ロングさん。

同じ能力を持つ仲間と共に警察が指名手配したテロリストの顔を記憶し群衆の中から見つけ出す仕事についている。

人の顔を一度見たら二度と忘れないという並外れた能力。

ケネスさん達は「スーパー・レコグナイザー」と呼ばれている。

スーパー・レコグナイザーの能力が注目されたのは2011年に起きた「イギリス暴動」

一部の若者が商店や車を襲い略奪を行った。

この時ケネスさん達は防犯カメラに残された映像などから200人を超える犯人を見て記憶し検挙につなげた。


ロンドン警察 元警部 ニック・ネビルさんのコメント

当初私たちは AIの顔認識技術が犯人探しに役立つと期待した。

そこで防犯カメラに映った全ての顔画像をAIにかけた。

4000人以上を照合にかけたが AIが割り出すことができたのはたった一人。


 人の顔を記憶するとき脳の中では何が起きているのか。

ケネスさんの脳をMRIで覗いてみることにした。

MRIで検査しながら写真を数秒間表示し、すぐに消して次のものを表すという実験。

ケネスさんは目の前のモニターに写し出される画像を見て次々と記憶していく。

活発に反応していたのは脳の中心の奥底にある「歯状回(しじょうかい)」と呼ばれる部分。

歯状回は 脳のネットワークの真ん中で「海馬」の中にある。

海馬の断面を見ると中央をくるりと回っているのが歯状回の細胞。

歯状回という名前は並んだ細胞が人間の歯を上から覗いた時のような形をしているため。

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[どうやって記憶を作り出すのか]

最先端の科学の目で分析してみると、まずケネスさんが顔を捉えその情報は電気信号になって歯状回の内部へと伝わる。

今、歯状回へ電気信号がたどり着く。

歯状回の細胞が電気信号を発生させ次の信号を海馬へ伝達。

さらにその電気信号が次の細胞へと伝達される。

こうして電気信号が通るひとつのルートが作り出される。

実はこの電気信号のルートが記憶の正体。

ひとつのルートにひとつの記憶が対応すると考えられている。

歯のように並んだ歯状回の細胞が次々と入ってくる情報を異なるルートに振り分けることで様々な記憶が作り出されていく。

こうして作られた記憶は数年のうちに脳の表面にある大脳皮質へと移され生涯にわたって蓄えられると考えられている。

スーパー・レコグナイザーのケネスさんは今もロンドンの街で警戒に当たっている。

類まれなケネスさんの記憶力。

それは歯状回の活動が極めて活発であることと考えられている。

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[記憶力をぐんとアップさせるには]

米・サンディエゴ ソーク研究所 教授 フレッド・ゲージさんの話し。

歯状回の活動を活発にして記憶力をぐんとアップさせるにはどうしたらよいのか。

彼は長年記憶の謎を追い続けて、歯状回で新しい細胞が次々と生まれていること 突き止めた。

歯状回で新しく生まれる神経細胞こそが記憶力をアップさせる決めてになっていると考えられる

生まれたばかりの細胞はとても敏感、すぐに電気を発生させるためわずかな刺激にも反応する。

以前 信号の通っていなかった場所に全く新しいルートを次々と作り出していける。

つまり生まれたばかりの新しい神経細胞があればあるほど私たちは記憶力を高めていける。

では、どうすれば新しい細胞を歯状回で増やしていけるのだろうか?

実は鍵を握っていたのは全身の臓器が脳に向けて送っているメッセージ物質。

例えば食事をした時に膵臓から分泌されるインスリン。

インスリンは脳に記憶力をアップさせようというメッセージを伝えていた。

インスリンが脳に届いている時と届いていない時で歯状回の細胞の成長に大きく差が生じる。

膵臓からのメッセージが新しい細胞の成長を促し記憶力をアップさせていた可能性がある。

さらにシリーズで伝えてきた筋肉が出すメッセージ物質カテプシンB

このメッセージ物質も歯状回で新しい細胞の成長を促している可能性がある。

バランスのとれた食生活、膵臓を健康に保つこと、そして体を動かして筋肉を鍛えることそれが記憶力をアップする秘訣だと考えられ始めている。

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[世界最先端の治療戦略]

こうして築き上げられる脳の精緻なネットワーク。

これが徐々に機能しなくなってしまうのが今多くの人が直面している認知症。

今、世界中で患者さんが増えて日本でも大きな問題になっている病気。

脳の中の記憶している細胞が死んでしまうと記憶も死んでしまう。

認知症はタワシのような脳のネットワークが蝕まれて記憶などを失っていく。

認知症の中で最も大きな割合を占めるのが「アルツハイマー病」

アミロイドβと呼ばれるタンパク質が神経細胞を壊してしまうことで起きると考えられている。

これまでもアミロイドβを分解する薬は作られてきたが、いつも難題が立ちはだかってきた。

薬を投与しても脳の神経細胞にまで届けられない。

その理由は脳の血管の特別な仕組み。

脳の血管の壁にはほとんど隙間がないため薬を飲んでも送り込むことができない。

なぜ物質の侵入を簡単に許さない仕組みがあるのか。

それは私たちの脳の中で様々なメッセージ物質がやり取りされていることと関係がある。

もし血液の中を行き交う他のメッセージ物質が脳に際限なく流れこめば脳は大混乱。

そのためメッセージ物質の中で脳の血管の壁を突破できるのはごく一部。

それは例えば膵臓から出されるインスリンのように特別な役割を持つ物質だけ。

脳が自らの機能を守るために発達させた関門のような仕組み(※1)

それが認知症の薬を送り込む上で大きな壁となっている。

※1:「血液脳関門」と呼ばれている

山中メモ

この関門は脳を守る上で大事な役割を果たしているが諸刃の剣で、薬を届けようとすると逆にその関門が妨げになってしまう。

どうやってその関門を通り抜けるのかということが注目されている。

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[血液脳関門の突破]

米・カリフォルニア大学ロサンゼルス校 名誉教授 ウィリアム・パードリッジさんの話し。

彼が開発したアルツハイマー病の薬では開発の時にパードリッチさんが注目したのがインスリン。

脳の血管の関門を通ることを許されたのがメッセージ物質のひとつ。

インスリンは血管の壁をどうやって通り抜けるのか?

パードリッジさんはその決定的な瞬間を映像で捉えた。

インスリンは よく見るとカプセルのようなものに包まれて血管の壁を通過している。


そのメカニズムは、

脳の毛細血管の中に様々なメッセージ物質が流れてくる。

そこへインスリンもやってきた。

でも血管の壁にインスリンが通り抜けられるような穴はない。

ところが血管の表面にある小さな突起にインスリンがくっついた時に まるで秘密の扉が開くように壁が陥没し始めた。

そしてカプセル状の膜に包まれインスリンが血管の壁を突破していく。

彼らはインスリンを運ぶこのカプセルをうまく利用しようと考えた。

そうすれば認知症の薬も脳の中まで運べると考えたのだ。

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[ブラジル・ポルトアレグレでの臨床試験]

パードリッジさんが 認知症の薬を開発するために重要な第一歩と位置付ける臨床試験が始まっている。

アルツハイマー病と多くの共通点が指摘される「ハーラー病」

「GAG」と呼ばれる物質が子供の脳にたまり、神経細胞のネットワークが失われ認知機能や運動機能に障害が出る難病。

GAGを分解する薬を脳へと送り込むためパードリッジさんが用意したのはインスリンが脳の血管内でくっつく突起に同様にくっつく物質。

この物質にGAGを分解する薬を合体させて脳に送り込むという作戦。

点滴によって血液の中に薬を注入する。

脳の毛細血管に到達すると薬が血管内の突起にくっつく。

すると突起はインスリンが来たと勘違いして秘密の扉が開く。

こうして薬は 脳をへと送り込まれる。

さらに病気の原因となるGAGを分解していく。

この治療法は大きな成果を上げ始めている。

治療を受けているルイス・オリベイラくん10歳。

この治療法で画期的に症状が改善している。

以前は何事にも関心を示さなかったオリベイラくんだったが、最近は表情も明るくなり母親とも気持ちを通わせられるようになった。

子供たちの認知テストの結果を薬の投与前後で比較すると8人中7人に改善が見られた。

脳の仕組みを利用したこの治療法を用いればアルツハイマー病も克服できるとパートリッジさんは自信を深めている。


パートリッジさんのコメント

この戦略は多くの製薬会社からも注目されている。

まもなく たくさんの資金が集まり臨床試験も盛んに行われるだろう。

この新しい方法で ついに私たちがアルツハイマー病の治療へと乗り出す時が来た。

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[終章 (脳に関するその他の研究)]

今日分かったことは脳はネットワーク中のネットワーク。

しかも自分のネットワークだけでなく全身のネットワークのメッセージ物質を取捨選択している。

あらためてすごい臓器。

1000億もの複雑な神経細胞が複雑に絡み合い、人生のあらゆる場面で私たちを支え続ける脳のネットワーク。

そこに秘められた力を解明しようという挑戦がスウェーデン・ウプサラ大学など世界中で進められている。


ウプサラ大学で働く質量分析加速器の検査責任者のコメント

ここでは人間の脳の細胞を分析することで、それがいつ生まれたのかを割り出すことができる。

ここで最近新たな発見があった。

記憶を作るため新しい細胞が生まれ続けていた歯状回。

健康な人の脳では九十歳近くまで細胞が新たに生まれていることが分かった。


カロリンスカ研究所 教授 ヨーナス・フリゼンさんのコメント

マウスでは年を取ると新しく生まれる細胞は急激に減っていく。

人間ではそれが起きていなかった。

年をとっても高い認知機能維持できるよう人間の脳は進化しているのではないかと思っている。


 私たちの体の中に張り巡らされたメッセージ物質のネットワーク。

そして、その中の必要なものだけを巧みに利用しながら独自のネットワークを築き上げてきた私たちの脳。

未知なる全貌に迫る挑戦は今も続いている。

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[次回]

第6集「生命誕生あなたを産んだミクロの会話」

3月18日(日)日夜9時から

キーワードは、

「受精卵というたった一つの細胞が、一人の人間の姿形にどう変わっていくか」

「その命運は、細胞たちが盛んに交わす会話が握っていることが分かってきた」

「小さな受精卵が赤ちゃんになるまでの十月十日」

「成長をコントロールする鍵は母親と胎児が交わすメッセージ物質であることが分かってきた」

「さらに人間の母親の体内では赤ちゃんのために身を削る大事件が起きていることも明らかになった」

「誰も知らない貴方が貴方になるまでの物語」

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[独り言]

今回の番組では脳の「ひらめき」と「アルツハイマー病」についてスポットが当てられていた。

特にアルツハイマー病はこの先寿命が例年並みに3カ月ずつ伸びたとして単純計算でも68年ほどで日本御平均寿命は100才の世界に突入する。

実際には医学や科学の進歩によって もっと早く訪れるだろう。

その時に問題になるのは認知症などの寿命が短い時には少ない存在だった病気。

他の病気がどうでもいいとかレベルが違うという言い方をするつもりはないが、周囲で認知症を患った人やその家族を見ていて気の毒に思う。

仮に五体満足だとしても認知症になると記憶のほとんどを失うまでの過程では本人が苦しむ。

自分の記憶が無くなるときと蘇るときの狭間で苦しむのだ。

そして完全に記憶がなくなると当人は自分が誰で何をしているかさえ分からなくなる。

それからは周囲の人の苦しみが増す。

先にも述べた通り他の病気を御座なりにしてよいとは言わないが、個人的にも認知症にだけはかかりたくないと思っている。

今回番組で紹介された対策はメッセージ物質を応用した手法。

その他にも認知症に関わっているとみられるタウ・タンパク質の研究や意外なところで糖尿病治療に用いる薬が認知症に光をもたらすなどのニュースを聞く。

長寿になって健全な体とともに健全な心の源である脳を守る医療や科学が進歩することを祈って止まない。

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