時空を超えて「光の速度を破れるか?」番組まとめ

2018年

NHKで放送されている「モーガン・フリーマン 時空を超えて」

テーマは「光の速度を破れるか?」


光の速度を超えようとする科学者のアプローチは様々。

ワープドライブやワームホールを使おうとする者。

それらを実現するための負のエネルギーを研究する者。

まったく違ったアプローチで物質を情報に変換して転送する試みなど。

彼らが話す内容はSFなのか荒唐無稽で絵空事の様なものか、それとも実現可能と思える希望なのか。


高性能の望遠鏡で見る宇宙は息を飲む光景に満ちている。

この広大な宇宙空間を旅し、その光景を間近で見られる日はやってくるのか。

現在、科学者はワープする事によって果てしない宇宙空間を短時間で移動する手段を探ろうとしている。

広大な宇宙を探索するためには物理の基本法則を打ち破らなければならない。

私たちは光りより早く進めるのだろうか?

[番組内容(目次)]

[序章]

[モーガン・フリーマンの話し]

[宇宙の絶対速度]

[ワープは実現可能?]

[未知のエネルギー源を探せ!]

[本当は怖いワームホール]

[テレポーテーションで楽々と?]

[光のバーコード]

[制限速度は途中で変更された!?]

[終章]

[モーガン・フリーマンからのメッセージ]

[独り言]

[解説]

(番組放送順と多少前後有り)

[序章]

人類はいつの時代も星を見上げてきた。

そして何千年もの間、星々は太陽や月と同じくらいの距離で手を伸ばせば近くにあるかのように思っていた。

しかし、宇宙は思っていたよりずっと広大なものだった。

太陽を除くと最も近い恒星までの距離は、およそ40兆km。

今ある最も速い宇宙線を使っても1万年以上かかる。

私たちが本当の宇宙市民になるためには物理学の常識を打ち破るしかない。

光よりも早く移動するという事。

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[モーガン・フリーマンの話し]

子供のころ私はミシシッピの夜空の下、キャンプファイヤーで暖を取ったものでした。

揺れる炎を長い事見つめながら、この光は何で出来ているのだろうと思いました。

形がある様に見えても一瞬で消え去ってしまう。

これはいったい どういうことなのかと不思議だったのです。

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[宇宙の絶対速度]

米・カリフォルニア工科大学 理論物理学者 ショーン・キャロルの話し。

キャロルは光りというものの不思議な性質について研究している。

光の速さは秒速30万km、時速では10億8千万km。

この宇宙に光より速いものは存在しない。

光の速さは、たった1秒で地球を7周半できる。

しかし、速さ異常に興味深い事がある。

光の動きが宇宙に存在するあらゆるものと異なっている事。


キャロルは光の特異性について車を使って説明を試みる。

車を時速50kmで走らせながら前方に向かってドリンクを時速30kmで放り投げる。

するとドリンクは車と投げた速さを足した速度50+30=時速80kmで飛んでいく。

次は、時速50kmでバックしながら前方に向かってドリンクを時速30kmで放り投げる。

今度は-50+30=-20kmになりドリンクは後方に向かって時速20kmで飛んでいくことになる。

しかし、光はこの法則に従わない。

時速50kmで前方に走りながらライトをつけても、バックしながらライトをつけてもライトから出る光の速度は変わらない。

光は速さが足されたり引かれたりすることが無く、いつも観測者の状態に寄らず一定。

この不思議な性質に基づいてアインシュタインは宇宙の基本法則を書き換えた。


空間と時間は絶対的なものではなく、相対的なものだと考えたことで生み出されたのが有名な方程式「E=mc^2」

時間と空間は時空と呼ばれる織物の様なもので形作られているとした。

アインシュタインは時間と空間が時空という形で一体になっていることに気付きエネルギーと質量は同じものであると唱えた。

アインシュタインの理論によればロケットがエネルギーを使って加速するほど質量も増えていく。

質量は増えるほどに加速することが難しくなり光速に近づくほど無限大へと増加する(※1)

これはロケットが光速に達することが不可能であることを示す。

無限大のエネルギーが存在しない限り物質が光の速さで動くことは不可能。

※1:実際に粒子加速器などで陽子や電子などを加速させても光の速さの99.99%程度に達する事は出来ても光と同じ速さにすることは出来ない。


光速は日常的に見れば とてつもない速さ。

地球的なスケールなら どこでも瞬時に交信を行うことができる。

しかし、宇宙的スケールで見ると光の速さという制限は私たちを太陽系の片隅に留める足かせになっている。

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[ワープは実現可能?]

独・マックス・プランク重力物理学研究所 理論物理学者 ミゲル・アルク・ビエレの話し。

アルク・ビエレは光りの足かせを外す研究をしている。

アルク・ビエレはアインシュタインの理論を超越して移動を可能にするワープドライブ(ワープ航法)を発見したと言う。

ワープドライブは、ある場所から別の場所へ移動する方法だが普通の移動方法とは違う。

人間や乗り物にではなく「空間」に移動してもらう。


この発想もまたアインシュタインの相対性理論から生まれた。

空間の形は質量やエネルギーによって歪めることができるという考え方をする。

例えば、貴方がいる後の空間を膨張させると後ろにある物体から遠ざかり、前の空間を収縮させると前にある物体に近づく。

宇宙線などの乗り物は通常自ら移動するが光速を超えることは出来ない。

だが、空間を縮めたら見かけは移動するが周囲の物体は動いていない事になる。

このアイデアの良いところは宇宙線が時空の泡の中でじっとしているため目的の場所へ移動している間も質量が増えない事。

空間の歪みの速度を制限する物理法則は無い。

理論上は好きな速度で空間を歪め移動できる。

ただし、あくまでも理論上の話しで この技術を実現するには「負のエネルギー」が必要になると言う。


多くの科学者は「負のエネルギー」の実在に関して疑問視している。

しかし、負のエネルギーを実験室で作り出すことに成功したと言う科学者がいる。

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[未知のエネルギー源を探せ!]

米・イエール大学 原子物理学者 スティーブ・ラモローの話し。

ワープドライブとは、まるでSFの様な話。

しかし、空間を歪めて宇宙を高速移動する発想はアインシュタインの理論とも整合性がある。

ただし、問題は負のエネルギーという未知のエネルギー源が必要な事。

ラモローは、未知なる負のエネルギーを発見することに情熱を捧げている。

彼は謎を解く鍵は私たちの周りの空間構造そのものにあると思っている。


真空と聞くと何もないと思うかもしれない。

だが、そんな空間にもエネルギー密度があり、それは空間の「零点エネルギー」と呼ばれている。

量子力学の理論によれば何にもない空間にもエネルギーの僅かな揺らぎが存在し、素粒子が合わられたり消えたりする。

エネルギーを作り出すには、この零点エネルギーによる揺らぎを抑え込む必要がある。

ラモローは空間の形を変えることでそれを実現できるのではないかと考えた。

例えるなら、荒れた海に2隻の船を平行に並べて浮かべたような状態。

どちらの船も波を受けると跳ね返す。

すると船と船に挟まれた場所は船の外側よりも波が穏やかになる。

その結果二隻の船は互いに引き合い、接近し最後はぶつかる。

ラモローは何もない空間にこの船と船の間のような狭い領域を作り出そうと考えた。

それが実現すれば狭い領域は外側の空間よりもエネルギーが低くなるため、結果的に空間が収縮する。

空間を収縮させるのは負のエネルギーの特徴。


ラモローはこのアイデアを実験によって証明しようと試行錯誤を繰り返してきた。

それは真空ケースの中に並べた2枚の金属板。

この2枚の隙間は髪の毛一本ほども無い。

そのため2枚の金属板は原子レベルまで平らにしてある。

2枚の金属板の間では零点エネルギーによる揺らぎが、だいぶ抑えられている。

2枚の金属板を近づけるほど揺らぎは抑えられ、その分外側の空間の力が増大する事になる。

この力は負のエネルギーによって生じるものと考えられている。

15年以上の努力が実りラモローは負のエネルギーを測定することに初めて成功した。

しかし、そのエネルギー量は微々たるもの。

私たちが測定できた重さは赤血球1個の重さと同じ程度。

しかし、このような金属板を何千、何万と並べれば もっと実用的なレベルの力を生み出せると思っている。

ラモローの発見はささやかなものかもしれない。

しかし、この実験の成功は先に登場したミゲル・アルク・ビエレのワープドライブが物理法則に反していないことを裏付ける。

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ウィキペディア 負のエネルギー


 

ワープドライブによって宇宙を進むためのエネルギー源は実在する様だ。

ただ、光よりも早く進むもう一つのアイデアがある。

それは時空に開いた穴=ワームホールを利用する事。

理論上ではワームホールに入れば宇宙の遥か遠くにある空間にも短時間で移動できる。

しかし、そんなSFのようなものが実在するのか。

仮に実在しても それを使いこなせるのだろうか。

ある物理学者はワームホールを利用した移動方法を研究しSFの世界を現実のものにしようとしている。

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[本当は怖いワームホール]

米・ミシガン州立大学 物理学者 スティーブ・シューの話し。

ワームホールは私たちを見知らぬ世界へと導いてくれる いわば宇宙の近道。

しかし、そんなものをどうやって作り どの様に扱えばよいのか。

ワームホールを使って空間を移動するには新しい技術に加えて未知の世界へ飛び込む勇気も必要。


今や地球上のいたるところに道路が走っている。

昔なら時間をかけて迂回したり登ったりした巨大な山もトンネルを掘ることで短時間で通り過ぎることができるようになった。

立派に出来上がったトンネルは鉄筋コンクリート製で、どこから入りどこへ出るか分かっているので安心できる。

物理学が注目する基本的な性質の一つは安定か不安定か。

例えばノック式のボールペン、芯を引っ込めた状態で直立させているときは安定だが、少しでも力をくわえると倒れてしまい不安定な状態になる。

シューは動きが予測可能で安定したワームホールについて研究している。

ワームホール作りはアインシュタインの相対性理論に基づいている。

そこには、空間を曲げる方法が示されている。

この一枚の紙、自分はその上にいるアリと仮定する。

紙を横切るときには端から端まで歩く必要がある。

もし、紙が半分に折れ曲がっていたら ぐるりと1回りする事になる。

しかし、折れ曲がった紙を上下につなぐ管(くだ)が有れば、あっという間に反対側へ移動できる。

余談

上の例えでは紙と言う2次元を折り曲げると言う3次元に湾曲させてジャンプする。

これを私たちの宇宙に置き換えるなら3次元を4次元的に折り曲げてジャンプするということになるだろう。


SFに登場するワームホールは空間にぽっかり空いた入り口のように表現されている。

しかし、こうした描写はワームホールの本当の構造をごまかしている。

二次元的描写ではワームホールの入り口は平らな円、実際の三次元空間ではワームホールの入り口はシャボン玉の内側の様になっているはず。

シューの考えるワームホールはシンプルで、まず二つの入り口を作り それをつなげる。

そして、一方を数光年離れたところへ引き離す。

二つの入り口を結ぶトンネルはこの空間とは別の存在なので短いままになるはず。

問題はこのようなシステムを安定させるために膨大な負のエネルギーを制御しなくてはならない。

ワームホールの安定化は至難の技。

一般相対性理論によれば全てのワームホールに負のエネルギーが必要。


問題は負のエネルギー自体が不安定な事。

シューはワームホールの縁で負のエネルギーが通常の物質とどう反応するのか、そもそも二つが共存できるか計算してみた。

すると数学的に不安定であることが分かった。

少しでも力が加わると全体がバラバラに壊れてしまう非常に危険なもの。

宇宙船がワームホールに入った瞬間に崩壊してしまうかもしれない。


しかし、他の手段があるかもしれない。

ワームホールを人工的に作るのでなく自然界にあるワームホールを利用するというもの。

一部の科学者は非常に小さな時空の穴が宇宙にたくさん存在していると考えている。

空間の揺らぎによって時空がおかしな具合につながったワームホールがあるかもしれない。

ただし、それは素粒子サイズの極めて小さなサイズ。

素粒子サイズのワームホールは現れては消える空間の量子揺らぎ。

人間の手で無理に作ったものではないので中に入っても安全だとシューは考えている。

しかし、ここにも落とし穴がある。

量子力学の世界は基本的にランダムで予測不能。

小さなワームホールに入ることができたとしてもどこに出るか分からない。

深い海の底や山の頂上に放り出されるかもしれない。

エキサイティングな冒険だが安全や確実という言葉からかけ離れている。

しかし、もっと安全な方法もありそうだ。

それは一歩も動かずに遥か彼方へ移動できる驚くべき方法。

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[テレポーテーションで楽々と?]

米・メリーランド大学 量子物理学者 クリス・モンローとスティーブ・オルムシェンクの話し。

別の太陽系への旅行はまだかなり先の事になりそう。

ワームホールやワープドライブの実現にはまだ数百年かかるだろう。

しかし、方法は他にもある。

私たちの体を情報に変換しその情報を光の速さで別の場所に送る。


モンローとオルムシェンクの専門分野はテレポーテーションの研究。

二人が実現を目指すのは離れた場所で起きる本来何のつながりも無い出来事をつなげること。

例として挙げたのはごく普通のコインを使ったシンプルな仮定。

二枚のコインを投げて手のひらで受け止めると表か裏が出るが、どっちになるかはランダム。

もし二枚のコインを同時に投げて両方を常に同じ向きに投げられたら情報をテレポートしたことになる。

二人はそのための手段として「量子もつれ」を応用した。


「量子もつれ」とはミクロの間の物体に不思議なつながりを生み出す現象。

例えば爆弾が爆発して真っ二つに割れたときは互いに影響を受けずに勝手に動く。

しかし爆弾が量子サイズなら少し話が変わってくる。

素粒子サイズの破片の場合は量子もつれによって互いの動きに影響を与える。

一方が時計回りで回ったらもう一方は反時計方向に回るといったふう。

もし、二枚のコインにもつれを起こす事が出来たらオルムシェンクがコインの表を出した時にモンローのコインは常に裏が出る。

コイン投げの結果はランダムでも二枚のコインに相関関係が生じることになり、これがもつれの特徴。

物理学者は二十年以上前から この「もつれ」を使って物質の情報を別の場所へ手レポートしようとしてきた。

それに初めて成功したのがモンローとオルムシェンクの二人。

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二人は二つに分けた原子で実験を行った。

二つの原子は真空ケースに入れられ電気的な力で宙に浮かせておく。

何にも触れないようにし ほぼ完全に隔離された状態を保つ。

そして量子ビットと呼ばれる情報を片方の原子に書き込む。

この量子ビットがコインにおけるコインの表と裏の役割をはたす。

次に光パルス(光子)で両方の原子に刺激を与える。

これによって光子と原子が量子もつれを起こす。

この二つの原子から再放出する光子は原子の持つ情報のメッセンジャーの役割をはたす。

互いの原子から出た光子を反対側の原子が受け取ることで情報が共有され量子もつれを起こす。

この後片方の原子の量子ビットの情報を書き換えるともう片方の原子はそれと反対の情報に変わるようになる。

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アインシュタインはこの「もつれ」を不気味な遠隔作用と形容した。

モンローとオルムシェンクは一つの原子から別の原子へ情報を移動させることに成功した。

言い換えれば原子のテレポーテーションに成功した。

物質の情報を別の場所に光の速さで移動させたのは彼らが初めて。

二人は計画をさらに推し進めているが、もっと複雑な物質にも応用出来ると言う。

一個ではなく数百個の原子。

これが実現すれば大いなる進歩と言えるだろう。

しかし、人体を構成する原子はそれとは桁違いで天文学的な数字。

それだけの情報を別の場所にテレポートし一人の人間を再構成する事は可能なのだろうか。


今ここにチェリーパイがある。

チェリーパイを構成しているのは炭素を中心にした有機物で、さらに細かく分ければおびただしい数の原子で成り立っている。

チェリーパイをテレポートするには全ての原子の情報を集める必要がある。

ここでチェリーパイをミキサーにかけぐちゃぐちゃに混ぜてみると原子がバラバラになっていて とてもチェリーパイには見えない。

ぐちゃぐちゃになったチェリーパイでも原子の数は10の27乗個ある。

こんな膨大な数の原子を元通りに配列しなおすことは通常では考えられない。

人ならなおさらで今のところ人間をテレポートするのは非現実的と言える。

しかし、二人は量子もつれの研究によって何らかの突破口が開けると信じている。

量子力学の正しさは世界中の実験室で繰り返し証明されてきた。

二人は、これからも量子力学の実証を続けると言う。


テレボーテーションは量子力学に基づいて考えるべきだ。

量子力学と違う理論が発見されれば別だがまだ見つかっていない。

だがいずれにしても人間が他の星へ高速で移動するのは遥か未来の事の様だ。

しかし光りに関する理解が間違っていたらどうだろうか。

ある科学者はこれまでの物理法則をひっくり返そうとしている。

もし、彼が正しければアインシュタインによって提唱された制限速度は修正を迫られるかもしれない。

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[光のバーコード]

豪・ニューサウスウェールズ大学 宇宙物理学者 ジョン・ウェッブの話し。

私たちが住むこの宇宙の光りには秒速30万kmという制限速度がある。

少なくともアインシュタインはそう言った。

もし、それが間違いだったら。


ウェッブは宇宙の法則を書き換えたいと思っている。

そのカギを握るのはバーコード。

彼の専門分野は宇宙の彼方からやってくる光のバーコード。

彼方からくる光を虹色に分けると特定の色(周波数・波長)が欠けて黒く縦縞が出来る事が分かる。

それらの黒い縦縞はスペクトル線と呼ばれる。

このスペクトル線は宇宙空間に漂うガスが特定の光りを吸収することで色が欠けることになる。

この欠けたスペクトル線で多くの事が分かる。

例えばその光を発した星に水素やヘリウムなどの特定の元素があるかどうかなど。

ウェッブは遠い星からやってくる光のバーコードがさらに重要な事を教えてくれることに気が付いた。

それから宇宙の基本的な力の一つである電磁気力の強さが分かるのだ。

電磁気力を媒介する粒子は光子。

原子核とその周りをまわる電子は光子のやり取り=電磁気力によって原子を形作っている。

光はガスを通り抜ける時にガスの原子内における光子のやり取りを妨げ、電子を弾き飛ばす事がある。

(ただし、それは光りがある特定のエネルギー量を持つ場合に限られる)

そのため欠けた光のバーコードは電磁気力の強さを正確に教えてくれる。


21世紀に入ってからテクノロジーは大きく進歩した。

地球上にある観測所だけでも遥か遠くにある天体について正確な事が分かるようになった。

初期の宇宙はどういう様子で物理特性はどうだったのか。

宇宙の遠く離れた場所でも地球と同じ物理法則が成り立つのかなど。

そういったことが地球に居ながら分かるようになってきた。

ウェッブは数十億光年離れた宇宙に輝くガス雲を探し始めた。

北の空の観測にはハワイの望遠鏡、南の空の観測にはチリの天文台が用いられた。

そして光のバーコードを分析すると予想外の事が分かった。

関連記事

ウィキペディア スペクトル線

コトバンク 原子スペクトル


地球からの観測で見えるはずのガス雲のスペクトル(理論値)と南半球で見た時、北半球で同じ方角を見た時で見え方に違いがあった。

例えば橙色に縦縞が見える筈の物が南半球では赤色側に、北半球では反対の黄色側にずれている。

また黄緑色のところに有るはずの縦縞は南半球では緑色・青色側に、北半球では反対側の黄色・赤色側にずれている。

この縦縞が出る場所の違いの原因として考えられるのは一つだけ。

一定であるはずの電磁気力の強さが宇宙の場所によって異なっているという事。

電磁気力は光子、すなわり光りによって伝わる力。

電磁気力が一定でないと言うことは光りの性質そのものが変化したと言うことになる。

ウェッブの研究が正しければ宇宙の基本法則だと思われていたものが覆されることになる。


アインシュタインが言ったことは間違いで光の速さは場所によって変化するのだろうか。

その通りだと言う科学者がいる。

光は私たちが考えるよりずっと速く動き、それを利用したスーパーハイウェイが実現可能かもしれないと言う。

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[制限速度は途中で変更された!?]

英・インペリアル・カレッジ・ロンドン 理論物理学者 ジョアオ・マゲイジョの話し。

 

マゲイジョは宇宙には光よりも早く進むことができる領域があると考えている。

そう考えないと現在の宇宙のあり方が説明できないからだ。

宇宙はどの方向を見ても同じように見える。

しかし、そこに問題がある。

光が宇宙の隅々まで同じ情報を運ぶためには宇宙が誕生してからの時間では短すぎる。

これを「宇宙の一様性問題」という。

ビッグバン以降の宇宙で物質がこれほど均一に広がっているのは不合理。

ここでビッグバンを一つのパーティだと仮定してみる。

パーティー開始早々に参加者全員が同じ種類のワインが入ったグラスを持っている。

どうして、そんな短時間にワインを配ることが出来たのだろうか。

ウェイトレスが光の速さでしか動けなかったらパーティが終わる前に全員にワインを配り終わることが出来ない。

ほとんどの科学者はこの問題をインフレーションの考え方で解決している。

初期の宇宙はとても小さかったのでワインを配るにもあまり時間がかからない。

インフレーションによって部屋は急速に広くなるがその時には皆が既にワイングラスを持っていたという考え方。

インフレーション理論では生れたばかりの宇宙ではあらゆるエネルギーが凝縮された小さな点だったと考える。

その点は元々滑らかで均一なもの。

それが瞬時に膨張したため現在見ることが出来る宇宙も滑らかで均一なものになったと説明できる。

参考サイト

ウィキペディア 平均性問題=一様性問題


しかし、インフレーション理論はまだ完全に実証されたわけではない。

マゲイジョはそれに代わる理論を提唱している。

もし、彼が正しければ遠い星に向かうための活路を見いだせるかもしれない 。

インフレーションの様に膨張率ではなく、制限速度 つまり光の速さを変えたら=「光速変動理論」

この理論では宇宙が誕生した直後はウェイトレスが光りよりも速くワインを配り、その後現在の速さまでスピードダウンしたことになる。

遅れて(138億年以上経ってから)会場に現れた私たちは どうしてこんな短時間でワインを配れたのか不思議がることになる。

マゲイジョの理論は一様性問題を上手く解決できるが、光の速さを絶対的なものとするアインシュタインの理論に反することになるのだろうか。

彼は制限速度が時間経過とともに変化したとしているだけであってアインシュタインの考えを否定するものではないと言う。

ここでマゲイジョの説によれば光が宇宙誕生の頃と同じ速さで進んだ通り道が今も存在しているかもしれないと言う。

その通り道は「宇宙ひも」と呼ばれている。


宇宙が始まった直後、光は今よりも早く進んでいた。

「宇宙ひも」はその頃の速い速度が残っている領域。

マゲイジョの理論によれば宇宙誕生の瞬間、時空に極小さな割れ目がいくつも出来た。

それ以降これらの割れ目は宇宙の膨張に合わせて広がり、今では数十億光年の長さになっている。

「宇宙ひも」は本来ならゆっくりとしか移動できない領域を一瞬で横切ることが出来るスーパーハイウェイの役割をはたす。

例えるなら地下鉄の様なもので地上には自動車の制限速度があるがそれは地下鉄には適用されないようなもの。

制限速度に縛られない「宇宙ひも」を利用できればアインシュタインの理論を超える速さで宇宙空間を進めるはず。

関連記事

コトバンク 宇宙ひも

ウィキペディア 宇宙ひも


宇宙ひもに沿ってスーパーハイウェイを作り宇宙線を通すことが出来れば光の速さを超えて進むことが可能になる。

ただし、「宇宙ひも」はまだ発見されていないし光速変動理論はあくまでも理論の段階。

それでもアインシュタインの定めた制限速度はマゲイジョやウェッブの様な科学者によって少しずつ見直されている。

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[終章]

光の速さが宇宙の場所や時代によって変わると言う考え方は画期的。

光の速さが変わるなら物理の常識も今と違ってくるはず。

今、世界中の科学者が新しい技術を開発したり宇宙の新しい法則を見出したりすることで遠い星々へ至る道のりを切り開こうとしている。

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[モーガン・フリーマンからのメッセージ]

私たちが本当の宇宙市民になるのは遥か先の事でしょう。

太陽以外の恒星はあまりにも遠いからです。

しかし、科学の進歩が続く限り最後のフロンティアへの挑戦は続くはずです。

そして、いつの日にか人類は他の星に到達する事でしょう。

想像できることは実行できる事だからです。

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[独り言]

今回の番組内で取り上げられた内容は奇抜なものが多過ぎて正直理解に苦しむ。

「ワープドライブ」「ワームホール」や「負のエネルギー」といった話は実証できている要素があるとは言え素粒子サイズの話しで現実的レベルには程遠い。

素粒子が確立的にしかその存在場所を特定できない現在の科学の限界と言える世界を突破していないのに、これらの話しは先を行き過ぎて荒唐無稽ですらある。

(もちろん探求心の方向をどこに向けるかは自由で、誰が何を言おうが正しいと信じる事をするのが人の性(さが)、そして違った考え方をする人がいるからこそ多様性が得られる)

それよりも銀河を銀河たらしめる重力源であるダークマターや宇宙空間を膨張させている未知のエネルギーであるダークエネルギーの方こそ研究・観測に値する存在ではなかろうか。

これらが理論上でも良いので分かればアインシュタイン以来の大発見になるはずだ。

(ダークエネルギーやダークマターについては物質的証拠を捕えようと実験も幾つか行われている)

もしダークエネルギーとダークマターを媒介する粒子が見つかるような事でもあれば、そして制御する事が可能になれば、そのときこそ光の速度を突破できるだろう。

進もうとする前方にダークマターを振りまいて、後方にダークエネルギーを撒き散らせば前方の空間を縮めて後方の空間を膨張させ、理屈の上では光の速度を突破できるはずだ。

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