NHK Eテレ「ミクロの限界を超えろ!解き明かされる生命の神秘」

2018年

[2017年9月27日に参考写真を3枚と朱書き部の文面を追加]

NHK Eテレ放送される「サイエンスゼロ」

テーマは「ミクロの限界を超えろ!解き明かされる生命の神秘」について番組紹介と放送内容をまとめてみる。

番組紹介

この番組はNHK総合で夜9時から放送される別番組のNHKスペシャルの「神秘の巨大ネットワーク」で使われる8K映像に関連している。

番組の主な内容は、

「8K撮像センサー(※1)で視野の狭さを解消」

「膨張顕微鏡法でミクロの限界を超える」

リンパなど研究をする医師でありながら4K顕微鏡撮影システムを作った若き教授の話しと、可視光顕微鏡で見られる限界より小さい細菌を従来の顕微鏡で見るための逆転の発想法が紹介される。

※1:8K解像度は7680×4320(3300万画素)で一方現在主流になりつつある4Kは約4000×約2000で約800万画素

8Kは4Kの4倍の解像度がある事になる。

(4Kだと4画素で点を表示するとしたら8Kでは16画素で同じ点を表示する事になる)

番組内容

「8K撮像センサーで視野の狭さを解消」

従来の顕微鏡の視野だと0.1mm四方しか見られなかった。

栃木県 自治医科大学の教授 西村智氏は持ち前の電子機器や機械知識を生かし8K撮像(イメージ)センサーを使った広視野顕微鏡を開発。

従来ではマウスの静脈血管の幅を視野に納めるのが限界だったものを16倍の面積まで拡大する事に成功した。

16倍の視野だと0.05mmの太さの血管を長さで約2mmの幅で見る事が出来る。

これは従来だと血管の中を血栓が通るのを一瞬見られるだけだったのが、流れてきて一時止まったり完全に止まったりする様子を見られるほどの進歩。

解像度が高い8Kセンサーでデータを収集できるので部分的に拡大しても情報が豊富と言う特徴もある。

(高解像度のカメラで撮影した写真の一部をトリミングして鑑賞する事と同じ)

もう一つのメリットとして焦点を合わせる深さを変えてデータを得る事により3D画像が得られる。

(一眼レフとマクロレンズで撮影をした参考写真の例を見るとイメージをつかみやすいと思う↓)

上の写真の例のようにピント位置を奥から手前に移動しながら撮影し 最後に合成する事で3D映像にする。

実際には焦点を合わせる位置(深さ)を少しずつ変えながら何十枚~百枚単位で撮影したデータを重ね合わせる事で平面×深さ(奥行)情報が得られ3次元画像を作り出せる。

透視するかのような現象だが細胞のほとんどは水分で、光学的にはスカスカ(透明)の空間と言える。

そのため ある程度の深さなら手前にある細胞膜を通して奥にある細胞を見る事が出来るのだと思われる。

番組では血管の立体映像を3D化した映像を紹介していた。

一方 広い視野を確保できる代償としてレンズは大型で重くなり当然コストもかかるのだが、今後 医学の進歩に貢献する発見が期待できる。

「膨張顕微鏡法でミクロの限界を超える」

光学顕微鏡で見られる大きさは0.1から1μmほどで0.2μmほどになると回折限界で見られなくなる。

この限界付近の大きさは細菌などの大きさで見えるか見えないか きわどい大きさ。

膨張顕微鏡法では これらを見るために細菌(細胞)を膨らませるという発想の転換。

細かいテクニックは割愛するが、具体的には分子と分子の間に吸水性ポリマーを入れて水を加える事により分子と分子を引き離し(膨張させ)光学顕微鏡で見られる大きさにしてから観察する。

余談

番組で紹介していないが今まで 細胞や細菌を見るためにはSEM(走査型電子顕微鏡)が必要だった。

だがSEMは数千万円単位の機械で観測物を真空空間に置く必要が有り、扱いが難しいだけでなく真空中に物質を置くことで通常の状態とは異なった環境で見る事がデメリットだった。

膨張顕微鏡法ならコストは激減し、かつ通常に存在する状態と観察する状態が ほぼ一緒と言える点が画期的だ。

冒頭でも記したが8K映像に関しては同日NHK 総合で夜9時から放送される「神秘の巨大ネットワーク」でも使われる。


番組では必要ないので紹介していなかったが1nm~0.1nmの分子・原子レベルを見るにはSTMAFMという顕微鏡がある。

STMは真空中に置いた測定物のトンネル電流を利用して構造を探るモノでAFMは測定物と測定機器の間の原子間力を利用して表面構造を観測する機械。

いずれも測定できる面積の問題やリアルタイム観測の点で医学分野の顕微鏡としては基本的に向いていない。

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