マクロレンズで花を撮るなら三脚使ってガツンと絞ろう

[写真多め]

デジタル一眼でマクロレンズを使い花をクローズアップで撮る。

花を撮影する者なら誰でも撮ってみたいシーンだろう。

マクロレンズを通してみる世界は肉眼で見る世界とは趣を異にする。

そして新しい発見と感動をもたらしてくれる。

ただ、フィルム時代の昔と違ってデジタル時代に入ってからは、

「絞りをあまり絞り込まないで撮った方が良い」

とか

「回折現象が影響するのでF11以上に絞らない方が良い」

といったキーワードがカメラ雑誌やネット記事に目につくようになってきた。

でもマクロレンズでクローズアップするならガツンと絞った方が良いのだ。

ただし、撮影にはコツが要る。

今回はそんなマクロレンズでのクローズアップ撮影と絞りの関係をホウセンカの花の写真を交えて紹介。

ホウセンカ

目次

※レンズの事や絞りについて分かっている人は「何故絞るのか」から見るとよいだろう

マクロレンズとは

普通のレンズとの違いは

絞りについて知ろう

何故絞るのか

こんなに違う絞った時と絞らない時


マクロレンズとは

レンズの性能・仕様の中で最大撮影倍率で0.25倍や4:1といった表現をされている中で1倍~0.33倍や1:1~3:1の性能を持つレンズを一般的にマクロレンズと呼ぶ(※1)

1倍または1:1というのはイメージセンサー上に被写体が現物と同じ大きさで写し込まれることを意味する。

一般的なレンズの最大撮影倍率は比較的大きく写せるものでも0.2倍または5:1程度の物が多くマクロレンズとの差は歴然。

大写しできる分その取扱いもシビアになるが今まで見られなかった世界を見ることが出来る初めて使った人には魔法の様なレンズ。

一度使うと今まで何気なく見ていた被写体への思いもガラリと変えてしまう。

※1:学術的・医学的目的で作られた5倍~2倍といったレンズもある。

マクロレンズの選び方

初めてマクロレンズを買おうと言う人にお薦めなのは焦点距離が100mm前後の手ぶれ補正付き。

ほとんどのカメラメーカーやレンズ専用メーカーからも手ぶれ補正付きで販売されている。

50mmや150mm・180mmといったレンズもあるが、最も汎用性が高いのが焦点距離100mm前後のもの。

理由は50mmは手ブレしにくく値段も安いが被写体までの距離がレンズ前数cmと近寄る必要がある。

公園などで柵越しに狙う時に あと一寄りが出来なくて悔しい思いをしたり、被写体に近すぎるためにレンズが被写体に触れたり、呼吸(息)が被写体に当たりやすく被写体ぶれしやすい。

これらのデメリットを知ったうえで使う分にはマクロレンズの中で最も機動力があるレンズと言える。

一方150mm・180mmは被写体までの距離が比較的離れた状態で撮れるメリットがあるので柵から遠い花を撮るのに適している。

ただ被写界深度(ピントが合う奥行範囲)が浅いためピントがシビアで、かつ少しのブレが大きなブレを呼ぶ。

背景を狭めて(整理して)遠い被写体を引き寄せたい人に合ったレンズと言える。

ただし値段も高い。

その点 焦点距離100mm前後のマクロレンズは機動力と扱い勝手のバランスが良い。

ひと昔前の手ぶれ補正無し時代なら50mmを最初に薦めたが、現代においての万能マクロレンズは焦点距離100mm前後と言える。

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普通のレンズとの違いは

前述の通り大写しできることが最大の違いだが細かな点では多数の違いがある。

その違い=特性を理解することで今後の撮影の幅が広がることは間違いない。

その中でも覚えておいて損はない2項目について紹介。

収差が少ない

「何故絞るのか」で詳しく記すが、一般的な特にキットレンズなどのズームレンズと比べ物にならないくらい性能が良い。

焦点距離が一点であるため設計の自由度が高く、機構がシンプルにできるなど製造上のリスクも少ない。

焦点距離が一点である事から撮影の自由度が減ると思われるかもしれないが、むしろその逆。

ズームに頼らず自分がカメラやレンズと一緒になって動き最適な距離やアングルを選ぶことによってズームレンズとは比較にならない優れた作品を生み出すことが出来るはずだ。

※ズームレンズの最大のメリットは過酷な撮影条件、例えば雪深い場所での撮影や目の前が崖だったりして前後に移動できない状況のときに威力を発揮すると思っている。

開放F値が明るい

キットレンズの性能は多くの場合24mm-70mm F3.5-5.6といったものが多く開放F値は広角側でF3.5やF4、望遠側でF5.6やF6.3と言ったものがほとんど。

それに対してマクロレンズのほとんどは開放F値がF2.8と1/2段から場合によっては2段分明るい。

これは同じ絞りに設定して撮れば収差を抑えて撮ることになり描写の上で有利。

仮に開放で撮る場合はキットレンズより1/2段から2段分 速いシャッター、または低いISO感度で撮ることが出来ることを意味する。

要するに撮影の自由度が増すことを意味する。

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絞りについて知ろう

カメラの撮影モードでAvを目にした事があると思う。

この文字はアパーチャー・バリューの略で意味は絞り優先AE(※2)

絞りの値とはファインダーを覗いたときに表示されていてF4やF5.6・F7.1といった数字を見たことが有るはず。

絞りの数値は大きいほど絞り込むことを意味する。

F2.8よりF4の方が、F5.6よりF16の方が より絞り込んでいることになる。

※2:AEはオート・エクスポージャーの略で自動露出の意味

露出段数と絞りの関係

よく露出に関するキーワードで「1段絞って」とか「1段速いシャッターで」と聞いたことがあるだろう。

絞りについてだけ1段おきに説明すると、

F1.4<F2<F2.8<F4<F5.6<F8<F11<F16<F22<F32<F45

になり、右の数値になるほど絞り込んでいることになる。

ISO感度を固定した場合は、絞りを絞り込んでも同じ明るさで撮るためにはシャッター速度を遅くして露光時間を長くしなければならない。

例えばF4で1/250秒で撮っていた時に絞りを2段階絞り込んでF8にするとシャッターは1/60秒で同じ露出(明るさ)になる。

その分手ブレや被写体ブレが起きやすくなるので三脚を使うISO感度をできるだけ高めるなどの注意が必要になる。

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何故絞るのか

古いレンズほど実は絞った方が描写は良くなる傾向にある。

これはレンズにつきものの収差という現象が「点を点に描写してくれない事実」があるため。

収差にはザイデルの5収差=球面収差・コマ収差・非点収差・歪曲収差・像面湾曲と倍率色収差・軸上色収差の合わせて7つの収差がある。

このうち球面収差・コマ収差・軸上色収差は絞りを絞るほど改善される。

たとえマクロレンズがズームレンズなどと比べて収差が少なく設計・製造されているとはいえ絞った方が改善することに違いは無い。

これが絞り込んだ方が良い最大の理由だ。

もう一つの理由は被写界深度。

被写界深度はピントが合う奥行範囲を示すもので絞りが開放に近いほど狭く、一般的には浅いと表現する。

一方で絞りをガツンと絞ると被写界深度は広がり、深いと表現する。

花を真っ正面から撮り平面的にピントを合わせて撮るならば それほど絞って撮る必要はない。

だが、そのような写真を美しいと思う人は少ないだろう。

むしろ少しでも斜めから撮って奥行きのある立体的な描写を狙うはず。

であれば、なおさら絞りを絞り込んで奥行方向へピントを合わせる方が良いに決まっている。

余談

あえて収差を残して味わいのある描写をするソフトフォーカスレンズというものがある。

またマクロレンズでも絞り開放で収差が残った状態で撮ることによって輪郭に微かな滲みをもたせ味わいのある描写を狙うと言う方法もある。

ただし、前述した通り被写界深度が浅いので仕上がりをイメージした観察眼を要求されるだろう。

絞りを変えて撮った作例

以下に同じ被写体で絞りをF8からF22まで1段おきに撮影した写真を紹介

[↓↓↓絞りF8]

ホウセンカ F8

[↓↓↓絞りF11]

ホウセンカ F11

[↓↓↓絞りF16]

ホウセンカ F16

[↓↓↓絞りF22]

ホウセンカ F22

F8で撮ったものよりもF22で撮ったものの方が手前の葉っぱや花の奥にある茎や葉っぱの輪郭がハッキリと描写されていることが分かる。

これが被写界深度が深くなったという事になる。

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こんなに違う絞った時と絞らない時

今までの事を踏まえて絞りをF8のときとF32のときの違いが分かりやすい写真を紹介。

[↓↓↓絞りF32]

ホウセンカ F32

[↓↓↓絞りF8]

ホウセンカ F8

上の2枚の写真の差は歴然でF32まで絞った方が花の全体像がつかみやすい。

ただ印象的な部分にだけスポットを当てると言う意味では絞りがF8の写真も有りと言える。

F32の写真は記録・図鑑的写真にも見えるが、奥行きのある被写体を相手に写真を撮るときには やはり絞りを絞り込んで撮った方が良いという事が分かる。

絞りがF11を超えた段階で回折現象による回折ボケ≒輪郭の滲みが出始めるのだが大写しした時には ほとんど違いは分からない筈だ。

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余談

「絞り過ぎると回折ボケのため高解像度なイメージセンサーの性能を引き出せない」

そんなキーワードを聞いたことがある人も少なくないだろう。

それは風景などで詳細描写をする時の話し。

大写しにしたときの輪郭が回折ボケで数ピクセル(画素)分 滲んだところで問題にならない。

それよりもガツンと絞って美しい満足できる1枚を得る方が大事だ。

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