デジタル一眼で花を撮るなら多重露光でソフトアップ

[写真多め]

デジタル一眼で花を撮る人にお勧めしたい撮影法の一つが『多重露光(露出)でソフトフォーカス』

花を柔らかいイメージで撮りたい時に使いたい方法で、普通はソフトフィルターやソフトフォーカスレンズを使って撮るものをカメラの機能を応用して撮ってしまおうというもの。

一度やり方を覚えてしまえばソフトフィルターやソフトフォーカスレンズを使うよりも表現の幅が広がる。

なによりも機材を用意したり付け替えする必要もなく手軽にできる。

※注記:ここ10年ぐらいのデジタル一眼では普及機種の一部を除いて ほとんどのカメラに多重露光の機能がある。

ただし一部の機種や古い機種には無い場合がある。

[↓↓↓ハクチョウソウ(ガウラ)がフワフワ飛んでいるのをイメージして撮ったもの]

ハクチョウソウ・ガウラ多重露光

目次

※操作方法が分かっている場合は「多重露光でソフトに撮る」から見ればよいだろう。

多重露光とは

多重露光の手順

ソフトフィルターとソフトフォーカスレンズについて

多重露光でソフトに撮る

花以外での応用

多重露光とは

多重露光は多重露出とも呼ばれ2枚以上の画像を重ね合わせることで通常と違ったイメージの写真を作り出す手法。

合成写真の一つと思えば分かりやすいだろうか。

※ここでは多重露光に表現を統一する

フィルム時代からあった手法だがデジタル時代に入って手軽に撮れるようになった。

フィルムの場合は重ねる枚数を考えて露出を暗めに重ねる必要があった(露出加算方式)

だがデジタルになってからは重ね合わせの条件に「加算」と「平均」を選べる機種がほとんど。

「加算」の場合はフィルム時代と同様に重ねる枚数に応じて露出を低めに設定して撮りながら撮影する。

一方で「平均」の場合は適正露出で撮ればよいので慣れていない人でも手軽に撮れるので初めのうちはこちらの設定を選ぶ事をお薦めする。

※注記:PENTAXの一部では重ね合わせの条件に「比較明」が選べる機種がある。

比較明とは合成する写真の明るい部分だけを合成する方法で、星野(せいや)撮影などで星の動いた軌跡を描写するときなどに用いる。

余談

最近フィルムを使った多重露光で「フィルムスワップ」という楽しみ方があるようだ。

フィルムカメラで少し暗めにフィルム1本分撮り切ったら そのフィルムを他の人に渡してもう一度撮影してもらう。

意外性を楽しむ多重露光の有り方の一つだが、デジタルでは味わえない楽しみ方の一つだ。

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多重露光の手順

※ここではPENTAX K-1の例で説明

他のメーカーや機種ではMENU(メニュー)画面から設定を行う事が多く項目名は「多重露光」や「多重露出」「合成」といった表現になっている。

(使用するカメラの説明書を参照されたし)

黄色の矢印で示した上下左右のカーソルキー・OK・INFOボタンを使って設定する。

多重露光設定PENTAX K-1

黄色「↑」を押して撮影モードを表示

赤「→」または青「←」を押して「多重露出」へカーソルを移動

多重露光設定PENTAX K-1

「INFO」ボタンを押す。

赤→または青←で合成方法を選ぶ。

多重露光設定PENTAX K-1

緑「↓」を押して撮影回数にカーソルを移動

多重露光設定PENTAX K-1

青「←」を押して回数にカーソルを移動。

多重露光設定PENTAX K-1

「↑」か「↓」を押して回数を変更

多重露光設定PENTAX K-1

変更が終わったら「OK」ボタンを2回押して設定終了

後は撮影回数で設定した枚数分シャッターを切ると多重露光(合成)された写真が保存される。

余談

PENTAXは撮影モードの中で多重露光が選べるため非常に操作性が良い。

これは個人的な意見だがユーザーの声を一番反映してくれるメーカーだからこそのありがたい対応である。

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ソフトフィルターとソフトフォーカスレンズについて

ソフトフィルター

保護フィルターやC-PLフィルターの様にレンズの前側にねじ込んで使うフィルターの一種。

メリットは絞りの設定を変えてもソフト効果が変わらない事。

一方デメリットは使いたいレンズごとにフィルターネジの大きさが違っている場合、複数個用意する必要がある事。

またソフト効果が必要ない場合はフィルターを外して携帯する必要がある。


ソフトフォーカスレンズ

レンズでは通常敬遠される収差を残して(使って) あえて輪郭がにじむように描写することを目的としたレンズ。

※収差とは点が点にならずボケたり特定の方向に伸びたりするレンズの宿命の様な物

このレンズは絞り開放付近でソフト効果が得られる。

ただし、扱いには多くのコツを要する。

そして絞りを絞り込むとソフト効果が薄れていく。

※収差の7種類のうち球面・コマ・軸上色収差が絞り込むことで改善するため

使うにはレンズの特性をよく理解するとともに被写体や周辺の様子の観察眼が要求される。

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多重露光でソフトに撮る

多重露光の手順で設定が終わったら あとは撮るだけだが多少のコツがある。

基本編

[↓↓↓多重露光無し]

ハクチョウソウ・ガウラ

[↓↓↓多重露光3回 失敗例]

ハクチョウソウ・ガウラ多重露光

ピントが合った露光を2回と ぼかした露光を1回で合成。

風で被写体がぶれたため像が二重に見えている。

慣れるまではピントを合わせた露光は1回に留めた方が良い。

[↓↓↓多重露光 2回 その壱]ハクチョウソウ・ガウラ多重露光

ピントを合わせた露光を1回と後ろボケを1回合成。

1回目にピントを合わせて撮る

2回目はピント位置を花の後方にずらして絞りを解放にして撮る

ボケ量が少なく花の輪郭が強めに出るのが特徴。

[↓↓↓多重露光 2回 その弐]

ハクチョウソウ・ガウラ多重露光

ピントを合わせた露光を1回と前ボケを1回合成。

1回目にピントを合わせて撮る

2回目はピント位置を花の前方にずらして絞りを解放にして撮る

ボケ量が多く(大きく)花の輪郭が抑えめでふんわりした感じが強めに出るのが特徴。

※三脚を使って撮った方が仕上がりをコントロールしやすいが2回露光の場合は手持ちでも操作に慣れれば撮ることが出来る。

応用編

単純な2回合成でも十分ソフト効果が楽しめるが、2回目の露光を露出補正することで応用表現が多彩になる。

[↓↓↓2回目の露光で前ボケ 通常露出で合成]

ハクチョウソウ・ガウラ多重露光

[↓↓↓2回目の露光で前ボケ -1EV露出補正で合成]

ハクチョウソウ・ガウラ多重露光

[↓↓↓2回目の露光で前ボケ -1/2EV露出補正で合成]

ハクチョウソウ・ガウラ多重露光

以上の様に2枚目のボケを前にするのか後ろにするのか、また露出補正を加えるかどうかで多彩にコントロールできる。

しかも この方法ではフィルターや特殊なレンズは必要なく操作手順さえ覚えてしまえば手軽に撮れるのが最大の特徴。

被写体の対象は今回花に限ったが生け花・ぬいぐるみ・キャラクターグッズなどの物(ぶつ)撮りでも使えるテクニック。

個人的には3回露光や5回露光なども試している。

ピントが合った露光を2回と前ボケ2回、後ボケ1回で合成することで2回露光と違った味わいが得られる。

ただし、初めの2回の露光では三脚を使って、風が止むのをひたすら待って撮る必要がある。

是非覚えて作品表現の幅を楽しんでもらいたい。

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花以外での応用

多重露光は花以外でも応用できる。

そのさいたるものは水の流れの描写。

例えば滝の流れを絹糸の様に描写したい場合にも使える。

暗い場所で、またはNDフィルターを使えばシャッター速度を1秒もしくはもっと長い時間に設定して撮れる。

撮れた写真は流れが絹糸の様に描写できる。

[↓↓↓作例:シャッター8秒]

絹糸のような流れ

ただ明るい場所で撮るときはシャッターを遅くしたくても周囲が明る過ぎて設定できない時がある。

そんな時は三脚を使って同じ構図のまま多重露光すると1回当りは速いシャッターでも仕上がりは絹糸の様な表現に近づけることが出来る。

(個人的には1/125秒前後の荒々しい流れを多重露光することで荒々しくもしっとりとした描写が得られるので積極的に使っている)

だいたい撮影回数を10回程度にすればイメージに合う描写が得られるだろう。

他にもコツや利点があるが、それは次の機会に譲っておく。

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