NHK「時間の正体は何なのか?」番組まとめ

2018年

NHK Eテレで放送されているモーガン・フリーマン「時空を超えて」

テーマ「時間の正体は何なのか?」

現代物理学の基本はアインシュタインの相対性理論と量子力学の組み合わせで成り立っている。

特に相対性理論は時間と空間が存在する事が前提。

そして光速度不変の原理から時間が定義されいる。

ある科学者はアインシュタインが言う通り時間は概念だけでなく存在すると言い、ある科学者は存在しないという。

また、ある科学者は時間は粒子の様なもので次々と生まれてくるものだという。

最新の科学・研究を基に時間の本質に迫る。

[番組内容]

(番組放送順と多少前後有り)

[光りと時間]

[時間に隙間を作る]

[エントロピーと時間]

[時間は存在しない]

[時間は次々と生まれる]

[タイムリング実験]

[モーガン・フリーマンからのメッセージ]

[独り言]

[解説]

[光りと時間]

コロンビア大学 物理/天文学者 ジャンナ・レビーの話し。

光りの性質は日常の直感では理解できない。

光りはどんな人から見ても一定。

これが意味する事は『動くモノの速さによって時間と空間が変わる』=アインシュタインの光速度不変の原理

止まっている人と光りに近い速さで動いている人の例

止まっている人から見ると、動いている人の時計の進みはゆっくりに見える。

逆に動いている人から見ると、止まっている人の時計の進みがゆっくりに見える。

[光速度不変の原理概念説明(同時は同じではない)]

光速度不変の原理説明図

Aから見た場合だけ説明(C=光りの速さ)

AとBは同じ長さ(高さ)にはさまれた空間にいてその長さは光りの速さの半分とする=C/2

Aは静止、Bは右に向かって超高速で移動。

その移動速度はB1-B2間はAから見てBの足元を発した光りが天井に届くまでの距離がC1=CとなりAから見て1秒=T1になる距離だったとする。

AからみてBの足元から発した光りはBとともに移動しながら右斜め上・反射して右斜め下へと向かうが、Bには足元から発した光りは天井との間で往復するだけに見える。

そしてBにとっては光りが天井に達した時点で0.5秒=T2経ったことになる。

Aでは1秒経ったがBにとっては半分の時間しか経っていない。=>T1≠T2=同時は同じではない

これは見る者にとって光の速さは一定=Cのため

このためAよりBの時間経過は遅くなる。


[時間に隙間を作る]

コーネル大学 物理学者 アレックス・ガエータの話し。

超高速光学の実験。

光りを光ファイバーに通し脇から特殊なレーザーを照射する事で光を波長の短い部分と長い部分に分離すると間に隙間ができる。

この隙間は10億分の1秒と短い時間。

(時間は短いが、この隙間にデータを入れて伝送する事を考えると十分に長い時間だと言う)

その隙間は見る事が出来ず光りが存在しないので時間が止まっているという理屈。

分離した光りは特殊なレンズを通す事で元の光りに戻せる。

光りを無くしたり戻したりするという事は時間を一度止めて再び動かしたことと同じになるという。

条件を見つけ出せれば光の速さは ほとんど止まったようになるまで遅くできると言う。


[エントロピーと時間]

カリフォルニア工科大学 ショーン・キャロルの話し。

時間は一定方向へ進む矢の様なものと例えている。

我々の宇宙は別の宇宙の子供の様な存在。

例えば水槽の中に水が入っていて波立っていない安定な状態を母宇宙とする。

そこへ発泡剤を入れると泡立ち始め(ビッグバンの例え)泡立つのが終わるまでの間は泡というエネルギーが拡散している。

この状態が我々の今いる宇宙の様な物だと言う。

発泡剤が発泡し始める前の状態はエントロピーが低い状態=秩序が保たれている状態。

泡立っているエントロピーが高い状態へ向かう=エントロピー増大(状態無秩序に向かう)で この間だけ時間が存在する。

泡立ちが終わりエントロピーが増大しきった状態では 時間が無くなると言う説。

エントロピー増大の法則

一般的な説明として「お湯を沸かして火を止めると熱は暖かい方から冷たい方へと流れ(移動し)、冷めた水が再び温まることは無い」とされる。

火を止めた時点でお湯の周りは閉鎖系、再び火を点けて温めると開放系なので この場合エントロピー増大は成立しないと覚えておくと今後の科学番組でエントロピーについて理解・想像しやすいと思われる。

もっとグロイ例えをすれば、人は生きて飲食したり呼吸をしている状態は開放系で空気や食べ物という開放された外のエネルギーによって体を維持(秩序を保つ事が)できる。

だが死んで飲食・呼吸が無くなると人体だけの限られた世界だけ=閉鎖系になり腐って(無秩序になって)いく=エントロピーが増大したという。


[時間は存在しない]

(仏)リュミニ理論物理学センター 理論物理学者 カルロ・ロベリの話し。

時間はミクロレベルで見ると存在しないと言う。

我々が時間と呼んでいるものは統計的・平均的尺度であり実在しないという考え。

例えばオーブンでは中の温度が表示されているが、その温度はオーブンの中の平均値である。

厳密な温度が表示されているわけではない。

ロベリは量子論では時間の概念を取り除くべきで、新しい量子論を構築しようとしている。


[時間は次々と生まれる]

インペリアル・カレッジ・ロンドン フェイ・ダウカーの話し。

一般的に時間は流れる連続的なモノと考えられている。

また相対性理論では過去・現在・未来は同時に存在(※1)していなければ成立しない。

ダウカーによれば時間は不連続なものが次々と生まれている、宇宙は時間と空間の小さな粒の積み重なりで出来ているという理屈。

ダウカーは新たに生まれた時間は粒の様な物で、それは目に見えない極限の小ささで「時空アトム」と名付けている。

時間(と空間)とは時空アトムの粒が集まって塊になったモノ=>過去。

(それを離れた場所から見ることで大きな塊に見えているという)

時空は原子の様な断片的な粒で成り立っている、原因の後に結果が来る=因果集合と呼んでいる。

[タイムリング実験]

カリフォルニア大学 物理学者 ハートフ・ハーフナーの話し。

ハーフナーはタイムリングと言う実験を進めている。

カルシウムイオンをリング状に並べ磁力で浮かせた状態で絶対零度付近まで冷やす。

この時の温度は絶対零度+数十分の一の極低温。

この絶対零度=エネルギーゼロでは物質は運動を止めるので動かない筈だが時間に量子揺らぎの様な「ゆらぎ」があるならリングが特定の方向へ回る筈と言う理屈。

量子揺らぎでは絶対零度=エネルギーゼロでも様々な方向へと揺らぎが動くが、特定の方向へ動くことが有れば それは時間の揺らぎだと言えるらしい。

この実験結果によっては時間と宇宙に関する考え方が変わるかもしれない。


[モーガン・フリーマンからのメッセージ]

時間の正体が分かれば宇宙の根源的な謎の一つが解ける。

時間は宇宙にとって無意味と明らかになるかもしれない。

それでも私たちにとって時間は意味が有る。

時間は過去と未来をつなぎとめている。


[独り言]

例えを使って難しい理論を説明しようとすると無理があるので番組を見て疑問に持ったらトコトン調べるか「そういうものだ」と受け入れる方が良いだろう。

特に今回の番組では「時間」を俯瞰的に見る相対性理論と微視的に見る量子論の両方の切り口で紹介しているので余計に混乱しやすい。

相対性理論はエネルギー・時間・空間・重力(加速度や重さ)を使って物理現象を説明する理論。

それに対して量子論は物質の根源であり段階的な存在である素粒子を統計的・平均的にしか求められない理論。

大統一理論として研究者たちは相対性理論と量子論を合体させて整った美しい数式を求めようと努力している。

それゆえに様々な考え方があり、中には相容れない理論もある。

要するに現段階では相対性理論・量子論のいずれも単独で宇宙の全てを表す事が出来ない未完成な理論。

少なくとも「時間」は生まれたモノが老いて死んでいくように一般的な目で見れば「連続的に進んでいくもの」

その「連続的に進む物事を説明するための便宜上の尺度」であり概念と思っている分には問題はない。

時間が存在するかどうかと思慮を巡らすのは科学者に任せて、 それを興味深く拝見させてもらうにとどめるのが良いように思える。

モーガン・フリーマン 時空を超えて関連 BLOG内リンク>「モーガン・フリーマン 時空を超えて」

**「エントロピー増大の投稿」を御覧 頂きありがとうございます。**