皆既月食、貴重なスーパー・ブルー・ブラッドムーンとワインレッドムーン
2018年1月31日夜に見られた皆既月食。
今回の皆既月食は近年でも珍しい条件が重なっていた。
月が大きく見える「スーパームーン」
ひと月の間に2回満月が見られる「ブルームーン」
そして月食で見られる赤銅(しゃくどう)色を血の色に例えた「ブラッドムーン」
合わせて『スーパー・ブルー・ブラッドムーン』
今回は部分月食から皆既月食の終わりまでを写真とタイムラプスを交えて紹介。
(写真に関しては撮影データも掲載した)
そして最後に街中ならではの「ワインレッドムーン(造語)」を撮る機会に恵まれたのでその写真も紹介。
目次
基本情報
月食とは太陽に対して月が地球の影に入るために起きる現象。
部分的に欠けるだけの部分月食(以下部分食)と今回の様に月全面が地球の影に入る皆既(かいき)月食がある。
そして今回の皆既月食は以下のタイムスケジュールが予想されていた。
部分食 開始:20時48分(1月31日)
皆既月食開始:21時51分
皆既月食最大:22時30分
皆既月食終り:23時08分
部分食 終り: 0時11分(2月 1日)
部分食の開始は東南東の空から始まり、終わりは南の空
[↓↓↓22時46分から23時16分の30分の皆既月食最大付近から終りを合成]
[↓↓↓タイムラプス]
[Powed by filmora]
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部分食の始まり
[ISO200・シャッター1/30秒・絞りF11]
部分食が始まると月が欠けた様に見える。
空気が澄んでいるときの三ヶ月ならば明暗の境目は立体的に見える。
ただ部分食のときに月に当たる光りの一部は地球を通過した赤色を中心とした回折(※1)した光りも当たる。
そのため立体感が薄れる。
また当日は薄く霞のような雲が終始 月の周りにあった。
そのため一層 輪郭がハッキリしない像になった。
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※1:コトバンク 回折
部分食の進行
[↓↓↓暗い部分を見るため明るくめに露出]
[ISO3200・シャッター1/40秒・絞りF5.6]
このカットは部分食の暗い側に露出を合わせて撮ったもの。
部分食が先に始まった写真左下側が早くも赤銅色になっている事が分かる。
[ISO200・シャッター2秒・絞りF8]
部分食が進むと、赤銅色の範囲が広がっていく。
月食が真の暗黒にならないのは前述の通り地球を回り込んだ波長の長い赤い光りが月に当たるため。
回折は光りに限らず波が持つ特性の一つ。
波長が短い光りである青から紫色の光りは回折しにくい。
一方波長が長い赤や橙色と言った光は地球のような巨大な物体でも回り込む。
部分食終盤
[ISO200・シャッター2.5秒・絞りF8]
部分食も終盤になると、ほぼ赤銅色につつまれる。
写真の左側が特に暗いのは太陽の光が早くに陰ったこともあるが、月の海と呼ばれる元々周囲より暗い範囲が広いためでもある。
ちなみに月の海は水が存在するわけではない。
表面付近にレアメタル(貴金属)やレアアース(希土類)があるため暗く見える。
将来、月の資源を使う時は、こうした月の海から採掘を行う事が考えられている。
月にある縦孔
余談として、下の写真 左に示した緑の丸の辺りには「マリウスの縦孔」がある。
この縦孔は日本のJAXAが打ち上げた月周回衛星「かぐや」によって発見されたもの。
つい先日JAXAとNASAは月・火星探査で協力関係を結ぶことが発表された。
未来の人類の一部はマリウス丘付近に居住し、地球で月食が見られる時には月から宙(そら)を見上げて太陽の地球食(日食)を見ているかもしれない。
[↓↓↓緑の丸で囲った辺りにマリウスの縦孔がある]
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皆既月食
[ISO6400・シャッター1秒・絞りF8]
皆既月食が最大になり月が一面赤銅色になった。
月が明るい時は光りに埋もれて見えなかった星々も見えている。
月の左上に赤く小さく輝く星はカニ座のδ(デルタ)星と思われる。
(この星は4.2等級のため近くに月があるときは新月でもない限り見ることが難しい)
ここで、今回の月食は見られる時間が長い事も特徴の一つ。
それは月が大きく見える「スーパームーン」だったため。
大きく見えるという事は、月が地球に対して比較的近い軌道を通っている事を意味する。
月食と重なった今回は地球の影を長く通過することになり、そのため月食の時間が長くなる好条件になった。
皆既月食の終わり
[ISO25600・シャッター1/4秒・絞りF7.1]
長かった皆既月食も終わりを迎えつつある。
写真下側から月が光を取り戻し始めている。
それに合わせるかのように赤銅色も月の上へ上へと移動している様に見える。
基本的に月食に見られる赤銅色は 肉眼ではもっとドス黒い。
だが、カメラの露出設定で明るく撮ることにより、美しい橙色のイメージが得られた。
次回の月食は
[ISO25600・シャッター1/8秒・絞りF7.1]
予想された時刻より少し早くに皆既月食は終わりを迎えた。
見たイメージは、まるで月が下側から灼熱の業火で焼かれているかの様。
現代は科学が進み、学ぶ機会があるため月食は天体現象の一つとして理解する術(すべ)がある。
でも昔の人、特に太古の人々は、ごく稀に起きる月食を見て不吉な兆しや神の怒りと考えたのもうなずける。
そして次回、日本で月食が見られるのは19年後の2037年。
日付は奇しくも今回と同じ1月31日になる。
ワインレッドムーン
最後に皆既月食の途中に見ることが出来たワインレッドムーン(造語)を紹介。
この写真は皆既月食最大の少し後に撮ったものだが、撮影前後は雲の厚みが増し、かつ月の周辺の広い範囲を覆ったため見られた色合い。
街中の明かりが雲を形成する水蒸気にぶつかり空が紫に見えるため撮ることが出来た。
(この夜空が紫色に見える現象は曇った日であればいつでも見ることが出来る)
[ISO1600・シャッター2秒・絞りF11]